人材アセスメントを活用した組織開発コンサルティング、
企業研修ならHRD

DiSC®理論とは?そのルーツや分析の特徴、ビジネスへの活用方法を詳しく解説

【監修】HRD株式会社
    DiSC事業部長 ディレクター 久保田 智行

記事をシェアする

「チームのコミュニケーションを円滑にするためには、どうすればよいか?」
管理職や人事担当者、チームリーダーのなかには、このような悩みを抱えている方も少なくありません。チームメンバーの個性や価値観が多様であるほど、コミュニケーションのズレや摩擦が生じやすく、チームワークの低下につながる場合もあります。
そんな多様な人間を理解するために、4つのコミュニケーションスタイルで分析し、それぞれの強みや欲求を「見える化」したものがDiSC®理論です。DiSC®理論を理解すると、自己だけでなく他者への理解と尊敬も深まり、スムーズなコミュニケーションが可能になります。

本記事では、DiSC®理論とは何か、人間の性格を理解しようとする人類の歴史、4つのコミュニケーションスタイルの特徴、他の性格診断との違い、について詳しく解説します。あわせて、DiSC®理論に基づく人材アセスメント・Everything DiSC®のビジネスシーンへの活用方法もご紹介します。
チームコミュニケーションの課題を解決したい、チームメンバーの強みや個性を引き出し、組織全体のパフォーマンス向上につなげたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

DiSC®理論とは?

DiSC®理論とは、1920年代にアメリカの心理学者ウィリアム・M・マーストンによって提唱された、人間の行動特性を4つのスタイルの強弱バランスで説明する行動分析理論です。
ウィリアム・M・マーストンは、ポリグラフ(嘘発見器)の開発に大きく貢献したことや、ワンダーウーマンの原作者としても知られています。
マーストンの提唱したDiSC®理論に基づくDiSC®アセスメントは、現在多くの企業で活用されています。その理由は以下の通りです。

  • シンプルで理解しやすい
  • 4つのスタイルに優劣をつけない、フラットな視点
  • 短時間での自己理解・他者理解の促進
  • 幅広いビジネス適用性

各スタイルに優劣をつけず、一人ひとりの個性や強みを尊重するDiSC®理論の考え方は、多様性が尊重される現代において欠かせないものです。
現在では、多くの企業や組織がチームコミュニケーションの改善、人材マネジメント、セールスシーンなどに活用しています。

DiSC®理論の歴史と発展

古代ギリシャに端を発する人間の特性分類

人間の特性を4つに分類する発想は、古代ギリシャの医学者 ヒポクラテス(紀元前460年~)の時代から存在していました。
彼は、人間を以下の4つの体液型に分類しました。

  1. 粘液(穏やかで冷静)
  2. 血液(社交的で楽観的)
  3. 黄胆汁(エネルギッシュで短気)
  4. 黒胆汁(慎重で内向的)

この考え方は、心理学、芸術、宗教などの分野にも取り入れられてきました。1920年代には、この発想が心理学分野に応用され、ユング心理学に影響を受けたキャサリン・ブリッグスとイザベル・ブリッグス・マイヤーズによってMBTIアセスメントが誕生しました。
一方、ウィリアム・M・マーストン博士は、客観的・科学的なアプローチによる行動分析を研究し、1928年に『Emotions of Normal People』を発表。ここで現在のDiSC®理論の原型となる「DISCモデル」を提唱しました。

特性論と類型論の2つのアプローチ

心理アセスメントにおいて、特性論(Trait)類型論(Type)の2つのアプローチがあります。
特性論は、個人の特性を連続的な尺度で捉える考え方であり、性格や行動の傾向はグラデーションのように変化します。これに対応するのが「スタイル」で、例えば「コミュニケーションスタイル」のように、個々の違いを段階的・流動的に表現します。
一方、類型論は、人を明確なカテゴリーに分類する考え方です。性格や行動パターンを固定的な「タイプ」として捉え、「リーダータイプ」「内向型タイプ」などと表現します。
つまり、「スタイル」は柔軟で連続的、「タイプ」は明確で分類的な概念として使い分けられます。

DiSC®の原型を構築したマーストン博士

マーストン博士のDISCモデルは、人間の行動特性を4つの象限に分類する理論です。
彼の研究により、感情は環境との相互作用によって生じることが明らかになり、2軸4象限のモデルが構築されました。その後、DiSC®は学術研究と測定手法の進化を経て、統計心理学の進歩とテクノロジーの革新によって信頼性・妥当性が向上しました。現在のEverything DiSC®アセスメントは、最新の心理測定手法を取り入れおり、その精度の高さから、広く活用されています。

DiSC®理論における4つのスタイルの特徴とコミュニケーション方法

DiSC®理論では、人間の行動特性を「D(Dominance)主導」、「i(Influence)感化」、「S(Steadiness)安定」、「C(Conscientiousness)慎重」の4つのスタイルに分類します。

それぞれのスタイルには、異なる特徴や強みがあり、適切なコミュニケーション方法を理解することが重要です。

Dスタイルの特徴とコミュニケーション方法 

特徴
・目標達成意欲が強く、決断力と行動力に優れる
・結果を重視し、競争心が旺盛
・直接的で率直な意見を好む

コミュニケーションのポイント
・論理的かつ簡潔に説明する
・目標や期待を明確に伝える
・過度な感情表現を避け、実績や結果を重視した話し方をする

iスタイルの特徴とコミュニケーション方法

特徴
・社交的で明るく、楽観的な思考を持つ
・アイデアが豊富で、創造的な問題解決が得意
・人間関係を重視し、チームに活気をもたらす

コミュニケーションのポイント
・親しみやすい言葉を使い、フレンドリーに接する
・感情表現を交えながら話す
・アイデアや意見を積極的に受け入れ、自由な発想を尊重する

Sスタイルの特徴とコミュニケーション方法

特徴
・穏やかで協調性があり、周囲をサポートする
・長期的な人間関係を大切にする
・変化を嫌い、慎重に行動する

コミュニケーションのポイント
・じっくりと話を聞き、共感を示す
・安心感を与える接し方を心がける
・直接的な指示よりも、丁寧な説明やサポートを重視する

Cスタイルの特徴とコミュニケーション方法

特徴
・分析力が高く、論理的思考が得意
・正確性を重視し、データに基づいた判断をする
・完璧主義な傾向があり、慎重に行動する

コミュニケーションのポイント
・客観的なデータや論理的な説明を用いる
・感情的な表現や曖昧な説明は避ける
・十分に考える時間を与え、質問には丁寧に答える

「Everything DiSC®」はDiSC®理論を基にした人材アセスメント

DiSC®理論を基に開発された人材アセスメントが、「Everything DiSC®」です。
全世界で6000万人・10万社以上、日本では120万人以上が利用する実績があり、企業や組織の発展に貢献しています。

Everything DiSC®は、単なる診断ツールではありません。自己理解を深めるだけでなく、異なる他者とどのようにコミュニケーションを取ればよいか、具体的な方法まで発見できる体験をもたらします。レポートには、自身の強みや弱み、コミュニケーションスタイル、他のスタイルとの関わり方などが詳しく記載されており、自己成長やチームワーク向上に役立ちます

そして、その精緻なレポートをもとに自己と他者を発見する上質な体験をもたらすのが、DiSC®の専門知識を有する認定ファシリテーターです。HRD株式会社は、Everything DiSC®の日本国内での独占販売契約をJohn Wiley & Sons社と締結し、30年以上にわたり日本での普及に努めてきました。これまでに4,500人以上の人事専門家にDiSC®認定資格を付与し、企業と働く一人ひとりの成長を支援しています。

DiSC®理論のビジネスへの活用シーン

DiSC®理論は、さまざまなビジネスシーンで活用できます。以下に、代表的な活用方法を紹介します。

1. チームビルディング・組織文化の変革

DiSC®理論を活用することで、メンバーの行動特性を「見える化」し、コミュニケーションのズレを最小限に抑えることができます。
例えば、Dスタイルのメンバーが率直な意見を述べても、Sスタイルのメンバーが「攻撃的」と受け取らないよう、お互いの特性を理解することが重要です。
結果として、心理的安全性の高い職場環境を築き、創造的でパフォーマンスの高いチーム作りが可能になります。

2. 人材マネジメントスキルの向上

現代のマネジャーには、多様な価値観や個性を持つメンバーを適切にマネジメントするスキルが求められます。
例えば、Sスタイルの部下には共感を示しながら丁寧に指導し、Dスタイルの部下には目標を明確に設定するといったパーソナライズマネジメントが可能になります。

3. セールススキルの向上

DiSC®理論を活用すると、顧客のスタイルに合わせた提案やコミュニケーションが可能になります。
例えば、Cスタイルの顧客には感情的に訴えるのではなく、具体的なデータや実績を示して論理的に説明すると効果的です。
また、セールスチーム全体で共通言語を持つことで、顧客視点の販売体制を構築し、競合との差別化が可能になります。

Everything DiSC®導入による成功事例

事例1:弥生株式会社の導入事例

課題

社内外のコミュニケーションの質を向上させたい

成果

  • メンバーのスタイルを理解し、適切な指示の出し方を工夫
  • 指示の解像度が向上し、コミュニケーションコストが削減
  • 顧客対応時のスタイルを予測する精度が向上

事例2:MXモバイリング株式会社の導入事例

課題

社員の短期退職率の高さが問題

成果

  • DiSC®を活用し、社員の強みを引き出す指導方法を導入
  • 3年間で短期退職率を30%→10%台に改善
  • 社内の共通言語としてDiSC®が定着し、組織文化の改善に貢献

DiSC®アセスメントを活用する際の注意点

DiSC®アセスメントを活用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • スタイルに優劣をつけない
  • レッテル貼りをしない
  • 状況に応じて柔軟に対応する

DiSC®理論は、個人を型にはめるものではなく、コミュニケーションを円滑にするためのツールです。

「相手を理解し、協働関係を築くこと」が本質であり、そのためには謙虚に自己理解を深める姿勢が重要です。

私たちHRDは一人ひとりの個性に向き合い、自己と他者の相互理解を深めてより良い関係性の向上、ひいては人材と組織の成長へとるながるようサポートをしてまいりました。

DiSC体験を通じて得られる確かな変化と共に、皆さま心の中から希望を引き出し、より良い未来への後押しとなる一助となればと願っております。

DiSC®を活用した研修・コンサルティングならHRD株式会社へ

ここまで、DiSC®理論の基礎、活用方法、成功事例などをご紹介しました。

  • チームコミュニケーションを改善したい
  • 組織文化を改革したい
  • リーダーシップを強化したい
  • 社員のエンゲージメントを向上させたい

このような課題をお持ちの企業様は、HRD株式会社へご相談ください。

30年以上の実績を持つ専門家が、貴社の課題に合わせた最適なプログラムを提案いたします。

2025年03月11日

記事をシェアする

Everything DiSC®紹介資料

本資料では、Everything DiSC®がもたらす体験や対人関係についての尺度、組織カルチャーの共通言語となる特徴についてご説明し、併せて学術的背景、DiSC®理論概要、レポート詳細、活用事例などをご紹介しています。

資料をダウンロード

企業研修、コンサルティング、
人材アセスメントの
ご依頼・お問い合わせはこちら

ご依頼・お問い合わせ 03-6777-7636

営業時間 平日 9:00 - 18:00

サービス事例や業務に役立つ資料を
ご用意しております

資料をダウンロード