兼業・副業とは?
兼業とは、同時に2つ以上の仕事を掛け持ちする状態を指します。ここで重要なのは、各仕事に割く時間や労力の比率にかかわらず、どちらの仕事にも主たる役割がある場合を指す点です。例えば、勤務時間や労力が9:1であっても、5:5であっても「兼業」とみなされます。
一方、副業は「本業」となる主たる仕事があり、その傍らで行う追加的な仕事を指します。副業の特徴として、本業に比べて収入や労力の割合が少なく、本業を補完する役割を果たすことが多い点が挙げられます。
制度の背景とガイドラインの整備
厚生労働省は「働き方改革実行計画」に基づき、副業・兼業に関する環境整備を進めています。その一環として、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、企業や働く人々が法令を遵守しながら適切に副業・兼業を行うための指針を示しています。このガイドラインは定期的に見直され、現在は多様なキャリア形成を促進するための内容が含まれています。
また、2020年にはモデル就業規則が改定され、原則として副業・兼業を認める方向性が示されました。これにより、副業を希望する労働者が企業とトラブルなく活動できる体制が強化されています。
注意点と課題
一方、副業・兼業にはいくつかのリスクがあります。本業への支障や企業秘密の漏洩、労働時間の管理不足による過労などが代表的な懸念事項です。これらを踏まえ、多くの企業では以前、副業や兼業を禁止していましたが、政府が「働き方改革」の中でこれらを推進した背景もあり、近年ではルールの明確化と管理体制の整備が進んでいます。
企業側は副業を認める際、従業員の就業規則に副業・兼業に関する詳細な規定を設けたり、申請制度を導入したりすることで、トラブルの防止に努めています。また、労働者自身も本業と副業のバランスを適切に保つことが求められます。
副業・兼業は、働く人々のキャリアの選択肢を広げ、企業にとっても新たな価値を生む可能性を秘めています。ガイドラインや就業規則を活用し、双方が安心して取り組める仕組みづくりが今後も重要です。
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