複線型キャリアとは?
「複線型キャリア」とは、企業が従業員に複数のキャリアコースを提供し、従業員が自らの意志でキャリアの方向性を選択できるようにする人事制度を指します。この制度は、次の3つの軸でキャリアコースを定義することが一般的です。
1. キャリア志向
職務内容や勤務地の希望に応じて、たとえば「総合職」「一般職」などのコースを設定します。これにより、従業員はライフスタイルやキャリア志向に合った選択が可能になります。
2. キャリア適性
将来的に管理職として組織運営に携わるか、あるいは特定分野の専門性を深める専門職を目指すかによって、管理職コースや専門職コースを設定します。最近では、専門職の重要性が増しており、プロフェッショナル人材の育成を重視する企業が増加しています。
3. 職種
経理、マーケティング、研究開発などの職務内容や職務領域ごとにグループ化し、それぞれに対応したキャリアコースを設けます。これにより、従業員は自身のスキルや興味に基づいて職種を選択しやすくなります。
この制度のメリットは、従業員に自律的なキャリア選択を促し、キャリアビジョンを実現するための道筋を明確にする点です。企業にとっても、多様な人材の育成と、専門性やマネジメント能力を高めた人材の確保が可能になります。また、従業員のキャリア満足度向上が組織全体のパフォーマンス向上につながります。
一方で、この制度の導入にはいくつかの課題があります。たとえば、キャリアコースごとに適した評価基準や報酬制度を構築する必要があり、それには大幅なコストとリソースが伴います。また、従業員が選択したキャリアパスに対する適切な支援体制を整えることも重要です。
導入を検討する企業は、制度の複雑性を理解し、計画段階で関連する課題を想定しておくことが求められます。成功の鍵は、従業員の多様なニーズに対応しつつ、企業の戦略目標と整合性を保つことにあります。
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