【DiSC®事例】組織構築におけるDiSC®の位置づけ
シンジェンタジャパン株式会社取締役会長
村田興文 氏
シンジェンタジャパン株式会社取締役会長
村田興文 氏
グローバル人材の育成を目的に
村田氏は、アグリビジネスのグローバルリーディングカンパニーであるシンジェンタ社の日本法人の取締役会長であり、豊富なマネジメント経験を有すると同時に、組織構築のためのヒューマンデベロップメントにも深くかかわってきた。今回の事例発表は、そうした豊富な経験をもとにした人材育成計画のレポートであった。
村田氏が DiSC®と出会ったのは 1994 年のことで、DiSC®はグローバルなスキル開発に適したプログラムという認識を持ったという。以来、シンジェンタの人材開発に携わる場合、組織の人材計画の動向に対応させ、リーダーシップ研修、コーチング研修とからみ合わせながらDiSC®を有効に活用してきたとのことだ。
「2003 年~ 2008 年までの間、日本独自の人材育成計画をつくろうという構想があり、その責任者であった私は 2008年までにどのような会社を目指すのか、『戦略変換移行マップ』を練りながら、人材キャリア開発プランを立てていきました」
そして2009年から2015年までの第2次人材価値育成計画(Employee Value Development Plan)の段階から、DiSC®を本格的に活用するようになった。
「この人材価値育成計画は、2015 年を見据えてどういう投資をすべきかを検討、まず、新しいシンジェンタの文化を確立するためにコーチングを使うことにしました。そして、一人ひとりがグローバルにビジネス貢献できるキャリア開発プランを立てていきました。多国籍企業の一員のキープレーヤーとして日本人の起用を促進していくのが、我々の使命だと考えました」
さらに、リーダーとして、どのようなコンピテンシー・モデルが必要か、将来も見据えたところで考え、つくりあげていったという。また、研修は社内・社外コースを設け、フランスのフ ォンテンブローとシンガポールにキャンパスを持つ世界トップクラスのビジネススクールであるINSEAD での研修も受講できるシステムになっているとのことだ。
組織構築のための人材育成と人的対応ツールとして
このほか、DiSC®は戦略的営業のツールとしても活用されている。
「顧客のDiSC®スタイルに応じて個別交渉を戦略的に準備しておけば、なにも準備しない営業と比べて成果が十分に期待できます。たとえば、顧客のDiSC®スタイルによって、このお客さんはクロージングを早めた方がいいなどの判断が素早くできるようになります。こうした営業トレーニングにはロールプレイングを導入していますが、ロールプレイングを繰り返すことで、現場に出たとき“ 恐れ ”を感じないで営業活動ができるようになります。DiSC®を知っているかどうかは、営業の最前線にいる者にとって、サクセスストーリーをいくつ増やせるかどうかに関係してくるでしょう」
このように、シンジェンタ社では組織構築のための人材価値育成プロセス・プログラムにおいて、DiSC®はすべてのベースになっている。また、営業・交渉・渉外などにおいて、共通の人的対応ツールとして、さらには内部コーチングのツールとして活用していくという。
2011年12月22日