【DiSC®事例】E-mailライティングにおけるDiSC®の活用
グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社
代表取締役 布留川勝氏
グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社
代表取締役 布留川勝氏
グローバルビジネスの中の人材事情
布留川氏は、国内企業、外資系企業において、グローバル人材と自立型人材の育成を支援する企業を経営しており、この事例研究では、DiSCのE-mail ライティングへの活用を取り上げられた。布留川氏の起業のきっかけは、「グローバリゼーションがこれまでにないスピードで進行する中、このままでは、日本人ビジネスパーソンがグローバルビジネスの中で存在感を失ってしまう」という危機感だったという。
「グローバル人材とは、5 つの要素と専門性を兼ね備えた人材のことです。5 つの要素とは、コンピューターに例えると、2つのOSと3 つのアプリケーションから出来ています。右脳的な発想力・ひらめきと左脳的な構想力・思考力を併せ持つビジョナリーシンキング、そして深い自己理解に基づく自己強化と実行力のセルフエンパワーメントがOS にあたります。そして自分と異なる価値観や国籍・専門性を持つ相手をモチベートし協働できるダイバーシティ力、状況対応的にその場に最適な複数のコミュニケーションスキルを使いこなせるコミュニケーション力、そして準ネイティブだが切れ味の鋭いグローバルイングリッシュが3つのアプリケーションです」と、布留川氏は語っている。
布留川氏は、T・フリードマンの「フラット化する社会」を引き合いに出しながら、ベルリンの壁崩壊以後の市場経済の拡大や、インターネットの普及などにより、先進国と新興国の人材が競争・協働する時代が訪れたという。つまり、現在は、低賃金でハングリー、かつグローバルな環境でもパフォーマンスを発揮できる高い能力を持った人材が市場経済に大量に供給される時代なのだという。そんな中、世界基準で見て高い給与をもらっているにもかかわらず、グローバルな環境で存在感を出せない日本のビジネスパーソンは、自らをグローバルに変革する必要がある、と布留川氏は説く。
また、世界市場を獲得するために、欧米亜のグローバル企業が、世界中のA クラス人材を採用・育成・評価するノウハウを蓄積しているのに対し、多くの日本企業は未だに日本人を中心に人材戦略を練っており、この差は今後ますます企業の競争力に影響してくるだろうと述べている。
DiSCに対応した英文ビジネスメール
こうした中で、布留川氏は、グローバルビジネスでの交渉力を高めるために、DiSCを活用する方法を模索してきた。「これまでも、英文メールを作成する方法についての一般的な本はいくつもありましたが、DiSCを活用した英文ビジネスメール作成に関したものはありません」ということで、布留川氏の新たな角度からの英文ビジネスメール作成法が参加者の注目を集めた。
今回の事例研究では、「企業方針の変更」を英文メールで送付するシチュエーションを例に、DiSCの特性ごとにどのように伝えれば、一番効果的なのかを解説していただいた。例えば、相手が「D」の場合なら、どのように問題を解決できるのかを最初に述べたり、「S」の場合は、相手が変更に驚かないように配慮しながらメールを作成する、といったDiSCの考え方が反映された英文ビジネスメールを書くことで、より戦略的なコミュニケーションを取ることが重要だと指摘している。
布留川氏は、近著「相手をその気にさせる戦略的英文ビジネスメール文例集」の中で、「DiSCモデル対応の応用戦略フレーズ」を紹介している。
「欧米のエグゼクティブは、DiSCやコーチングについてよく知っていますが、日本人ビジネスパーソンの間ではまだ認知度が低い。私の著作がDiSCをさらに広めるきっかけになればと考えています」と、事例研究をしめくくった。
「相手をその気にさせる
戦略的英文ビジネスメール文例集」
著者 布留川 勝
ジェームス・ドハティー
ナツメ社
2011年12月22日