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ビジネスの変革と人的資本投資のこれから
個性を開放し、変化を成長につなげる人材戦略

出光興産株式会社 人事部 次長
山田 英一郎 氏

ビジネスコーチ株式会社 専務取締役 コーポレートコーチング本部 本部長
山本 佳孝 氏

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登壇者のご紹介

ゲストスピーカー
出光興産株式会社 人事部 次長
山田 英一郎 氏
Yamada Eiichiro

1995年に出光興産㈱に入社後、松本支店にて販売・営業を担当。その後、出光石油化学㈱、㈱プライムポリマーポリプロピレン事業部を経験し、2013年に㈱プライムポリマー産包材事業部産業材グループ営業担当マネジャーに就任、2015年に出光ユニテック㈱総務部人事課長、2018年に出光興産㈱総務部総務課長となり、2021年7月より現職。

ゲストスピーカー
ビジネスコーチ株式会社 専務取締役 コーポレートコーチング本部 本部長
山本 佳孝 氏
YAMAMOTO Yoshitaka

法政大学法学部卒業後、大手広告会社に12年勤務後、1995年プルデンシャル生命保険に転職。営業職、営業所長職を経て、2002年、業績最低迷支社の再建を任務に支社長として支社経営に入り僅か1年で完遂し、翌年本社営業推進本部長に就任。2006年にはメキシコ・プルデンシャル設立と営業組織立ち上げを目的に、日本から初代営業本部長として赴任。帰国後は執行役員常務営業本部長に就任。2011年4月、日本グループ内新会社 プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険(株)設立に伴い、初代営業本部長として着任。その後、執行役員専務営業統括本部長として営業体制の構築、更に取締役兼執行役員専務営業戦略本部長を経て人事総務統括、並びにビジネスクオリティ担当役員を歴任。同社の1on1Mtg全社導入の推進役を務める。2019年同社を定年退職し、ビジネスコーチ株式会社に入社し現職。

モデレーター
HRD株式会社 ディレクター 重要顧客担当
福島 竜治 氏
Fukushima Ryuji

日系及び外資系企業でのセールス・コンサルタント職のキャリアを経て、2014年より現職。プロファイルズのアセスメント事業の日本市場での立ち上げ期において、組織・人事領域のコンサルティング企業や研修事業者をパートナーとして開拓し、アセスメントのマーケット普及に携わってきた。

ProfileXT、CheckPoint360認定トレーニングの講師として認定資格者養成のほか、顧客企業の組織・人事課題解決のコンサルティングに従事。人材アセスメントを活かした、サクセッションプランニング、キャリア開発、
リーダーシップ開発など、多岐にわたるテーマにて数多くのプロジェクトに携わっている。

セッション概要:https://www.hrd-inc.co.jp/hrd-next/2024/#modal-session4-day1

カーボンニュートラルの時代に突入し、主力の化石燃料事業からの事業ポートフォリオ転換が求められ、出光興産を取り巻くビジネス環境は大きな転換期を迎えています。この変化を乗り越えるべく同社では、中期経営計画2030ビジョンにおいて、人的資本投資をトップ項目に掲げています。本セッションではビジネス変革にむけた人材投資の戦略や取り組みを共有いただきます。

また同社のリーダー育成に携わるビジネスコーチ社から、自律型リーダーの育成にコーチングとアセスメントが何をもたらすのか?その最前線の事例を紹介します。会社が求める人材を育成するという従来の人材育成から、一人一人が多様な個性を力に変えていくことが出来る組織や人材はいかにして作られるのかに焦点を当てていきます。 セッションのモデレーターはHRD株式会社ディレクターの福島が務めます。

中期経営計画の達成のため組織変革に取り組む出光興産の事例

福島:本セッションでは、「ビジネスの変革と人的資本投資のこれから 個性を解放し、変化を成長に繋げる人材戦略」というテーマでお届けします。変革が求められる今のビジネス環境の中で、人材戦略をどのように打っていくのか。多様性の発揮をテーマにお届けしていきます。

今日のゲストは、出光興産から人事部次長の山田英一郎さんです。そしてお隣が、ビジネスコーチの専務取締役である山本佳孝さんです。 そして、モデレーターをHRDの福島が務めます。

今日はこの3人で「人材の多様性」をテーマにお話していきますが、今回、出光興産にお越しいただいたのは、まさに「エネルギー」という大きな転換が求められる事業でいらっしゃることが理由です。燃料油、石油精製事業からの転換に向け、どのような人材戦略を打っていくのか、その前線で人事に携わっている山田さんに前半はお話いただきます。

そして後半は、エグゼクティブコーチであり、我々HRDのビジネスパートナーでもいらっしゃるビジネスコーチの山本さんから、人の多様性発揮に対するコーチングやアセスメントの可能性についてお話いただきたいと思います。

アジェンダは3部構成となっています。最初に出光興産からプレゼンテーションをいただいた後、ビジネスコーチからのプレゼンテーション、最後は残った時間で3者でディスカッションをしていきます。

では早速、山田さんからプレゼンテーションをお願いします。

出光興産株式会社 人事部 次長 山田 英一郎 氏

山田:弊社の中期経営計画における人的投資への取り組みを簡単にご説明させていただきます。弊社の創業は1911年で、グループの連結で売上高が9兆5000億弱、従業員数は約1万4000人という企業になります。

事業は、燃料油事業(原油の調達および石油製品の精製・販売)が主体で事業ポートフォリオの80パーセント弱。プラスチック原料の生産・販売が約7パーセント。加えて、その原料を使った高機能材、例えば潤滑油、エンジニアリングプラスチック、アスファルト、リチウムイオン電池の材料なども生産を進めています。さらにカーボンニュートラルへの貢献ということで、電力・再生可能エネルギーの電源開発や、石炭や天然ガスといった資源の販売も行っております。

続いて、企業理念をご紹介します。出光興産の創業者である出光佐三が掲げた経営の原点に、「人間尊重」というものがあります。それに加え、2019年に昭和シェル石油と統合した際に新しく制定した企業理念は、「真に働く」という文言になっております。

こちらの文言についても各自の解釈がいろいろありますが、私はですね、つねに新しいものに果敢にチャレンジすることが「真に働く」だという風に理解しております。

これまでの経緯と大きな潮流の変化という形でご説明します。2019年の昭和シェルとの経営統合は、会社の変革に対して非常に影響が大きかったと思います。石油の元売り企業は国内に複数ございますが、出光興産だけが一切、会社統合などを行わずに2019年まで来ました。

それが昭和シェルに入っていただいたことを契機に、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)や働き方改革を強く推進しております。働き方改革の中で大手町の本社ビルの統合もございました。当時、4つの本社ビルがございましたが、2020年に大手町の1丁目のビルに統合しております。

過去は本当に旧態依然としたオフィスでした。窓側の上席に部長がいて、次長がいて、課長がいて、通路側に新入社員というレイアウトでしたけども、働き方改革の一環として働きやすくて出社したくなるオフィス作りも進みました。ABW(働きやすさ)の推進に取り組み、誰でもどこでも話がいつでもできるといったレイアウトにリニューアルしています。

今日お話させていただきます人材戦略にもありますが、やはり従業員のエンゲージメントやロイヤリティを上げるためには、働く職場、オフィスの改革も必要だと思っています。

資料 中期経営計画:「人財戦略」

続いて、中期経営計画の位置づけについてご説明します。2030年までにさらに売り上げを増やし、営業益に持ち分損益を足して2,700億円を達成したいと考えております。また、今は石油製品にかなり頼っておりますが、(そのほかの事業を伸ばし)燃料油事業が事業ポートフォリオに占める割合を大きく変換していこうとしています。

2030年のビジョンに「責任ある変革者」とあります。その意味は、カーボンニュートラルを進めていく変革者でありながら、石油製品の供給責任もしっかり果たしていくということです。やはり石油製品がなければ、なかなか世の中が回りません。石油は悪者だから作るのをやめる、販売するのをやめると言ってしまったら、本当に人命に関わる問題ですので。

石油製品の供給責任を果たしながらも、カーボンニュートラルを進めていく変革者であるということを表現しています。

あわせて、中期経営計画の基本方針ですね。真ん中にある「責任ある変革者」というビジョンを達成するために、事業構造改革そして人的資本への投資という2つの軸を両立しながら進めていこうというと掲げております。

人材戦略については、「どのような未来が来ても、しなやかに、逞しく、未来を切り拓く人財集団」であると銘打ち、3本の柱に取り組んでいますが、これについては後ほどご説明させていただきます。

資料 中期経営計画:「人財戦略のKPI」

中期経営計画では人材戦略のKPIも明確に打ち出しています。ちなみにこのKPIは役員報酬制度への反映も行っております。

いわゆる従業員満足度を「出光エンゲージメントインデックス」という形で表しています。また、DE&Iの一貫として、女性採用比率、女性役職者比率、男性社員の育休取得率の目標を定め、さらに従業員1人当たりの教育投資額(年)といったものもすべてKPIを定めており、すべて役員報酬の非財務指標に加えています。

経営統合を契機に進んだDE&I、異業種との「クロスメンタリング」など先進的な取り組みも

2023年度から中期経営計画に取り組み始め、まだ1年終わっていません(※収録当時)が、進捗常用の中身を少しご説明します。

まず、「企業理念・ビジョンの体現」に関しては、これはもう構造改革の羅針盤だと捉えて取り組んでいます。

タウンホールミーティングというものを、役員を中心に数ヶ月に1回行っています。これは役員の方がリアルタイムでビデオ会議ツールを使いながら、全社員を対象に多様な意見を聞くというものです。

従業員の意見をしっかり聞いていくと結果的に、企業理念の認知度はほぼ100パーセントに近く、共感度も高い数字になっています。これで「企業理念・ビジョンの体現」が達成できたかというと、まだ壁があり、社員が失敗を恐れず挑戦していける環境ができているかというと疑問があると思っています。

もう1つが「DE&Iの深化」では、「新たな創造価値創造」を目指し、たくさんの取り組みを実施しています。とくにメンタリングが特徴的です。こちらは社内だけでなく、社外の企業と共同でも実施しておりますので、後ほどご説明させていただきます。

こうした取り組みの結果、男性社員の育休取得の数字が大きく改善しています。なでしこ銘柄も2023年度に取得できました。さらには、LGBTQ+の皆さんにとって働きやすさを表すPRIDE指標もシルバーからゴールドになると、KPI上はさまざまな目標を達成できているのですが、エクイティ(公平性)の観点からすると、やることはまだまだあると思っています。

次に、個々人の能力開発について。個性の発揮は「競争力の源泉」となります。こちらも越境学習などに取り組んでいますが、まだまだ足りないのが現状だと思っています。この3本柱のプラットフォームになるところは、「人事制度の進化」として、「人事制度プロジェクト」という取り組みを代表取締役社長と私含めた4名でスタートし、今は8名で進めています。こちらも大胆に進めようとしています。

資料 DE&Iの進化(メンタリングの拡大)

先ほどお話したメンタリングについて、少しご説明させていただきます。2020年度にメンター制度を導入し、外部のプログラムにも参加しながら、2023年度には東京海上日動と「クロスメンタリング」に取り組んでいます。

クロスメンタリングの概要をお伝えします。メンティ(支援・助言を受ける人)とメンター(支援・助言を行う人)がそれぞれ異なる会社の社員の組み合わせになっているのが特徴です。

クロスメンタリングは女性活躍の一環として行っており、メンティ側が女性社員になります。視野の拡大、視座の向上、昇進意欲を高めてもらうということと、自律的にキャリアを考えてもらうことにも当然効果がある一方で、メンターは性別に関係ありませんが、メンター側にも非常に有意義であると感じています。

なぜかというと、自律的なキャリア形成を進めるためには、部下の意見をしっかり聞くことが必要だからです。退職者の理由を見ていると、どうしても部下としっかり話ができていないというケースも実は起きているのではないかと思います。

どちらかというと、当社における従来の役職者像というのは、「率先垂範で俺の背中を見ろ」という非常に強いリーダーシップを体現したものでした。「何かあったら飲み屋で聞くぞ」といったスタンスが強くて、なかなか傾聴姿勢が育ってこなかったと思っています。そうした課題に対して、このメンター研修を実施することで、上司側も傾聴ができるようになれば、よりよい上司部下の関係ができると思っています。

ちなみにメンター研修に関しましては、副社長以下、出光興産本体に1,400人いる従業員全員に、2年間かけて受講してもらおうと考えております。

東京海上日動と共同で取り組んでいるクロスメンタリングの概要をご紹介します。こちらメンターとメンティ合わせて16組が参加しています。基本的には、女性の部長・次課長と役員という組み合わせのペアを、異なる会社の社員同士になるように組んでいます。

「相手が社外だから話しやすい」、「メンターも気づきがありました」と非常に好評です。今後、2024、25年度に向けて、参加企業をどんどん増やしていこうと思っています。第2期が2024年度にスタートしますが、東京海上日動さんと出光興産のほか、2社に加わっていただき、6月からプログラムが始まります。

変わりゆく仕事観、多様な社員のニーズにこたえる人事・組織開発を

矢継ぎ早ではありますが、現状の課題認識についてお話させていただきます。私のような50代はですね、以前、ライフキャリアとワークキャリアがほぼ一体でというのが当たり前の時代でした。現状は、ライフキャリアの中にワークキャリアの一部がある、という状況になっています。ここの理解ができていないと、DE&IやABWを進めていけないと思っています。

そうした現状における社員の変化についても触れておきます。従来は、会社側が社員の雇用や生活の安定を保証すると同時に、勤務地と職務は会社が決めて社員に従事してもらう体系でした。

一方で今若手・中堅社員の就業意識は変化しています。安定志向ではなく、成長や自分の自己実現ができないと辞めていきます。共働き比率も、今や20代・30代ではもう50パーセントを超えてきています。一方で我々の世代は、親の介護を抱える人も増えてきます。また、60歳代の社員も増えていますので、その方々の活躍もしっかり考えなければいけません。

採用の売り手市場という影響もあると思います。こういった背景から、自律的なライフキャリア形成を支援する選択肢を用意していくことが必要だと理解しております。

ここで、ライフキャリアとワークキャリアのコンフリクトでわかりやすい例を挙げますと、転居をともなう異動なんですね。我々も全国、全世界に工場や事務所があります。これまではですね、ひと月前に「はい、海外行ってください」「北海道に転勤お願いします」といったことをしてきましたけれど、共働きが前提になると、子どもが小さくワンオペになってしまうので、そうした采配はできません。もし強引に実施すれば、望まない退職につながるのが現実だと捉えています。

今後の検討の方向性としては、3つの方向性を示しています。まず、「失敗を恐れず挑戦する姿勢を評価し後押しする」ことです。結果主義ではなく、チャレンジしたプロセスをしっかり評価するための制度を、人事制度プロジェクト内で検討しています。

次に「DE&I、とくにEquityをより実感させる」取り組み。今、役職者の育成コースはマネジメントとエキスパート職で別れていますが、ここにいわゆる社内のスペシャリスト、おそらく転居や異動はないことを想定した役職ですが、そういった職種も加えながら個々人の自律的なキャリアを支えていきたい、と。また、一律60歳での役職定年制についても一律ではないように見直していきたいと考えております。できれば60歳代以降は、ジョブ制度的にやっていきたいと思っています。

3つ目はですね、「会社が選択肢を用意し、従業員が主体的にライフキャリアプランを描けるようにする」ということですね。今でもライフキャリアを大事にしていますが、社員の主体的なキャリアプランの策定を支援する専門部署を設置していきたいと今、検討しています。

先ほどもありました転居をともなう異動は、大変有用な成長機会になる一方で、本人の納得感を向上させながらやっていくことも重要で、社員が仕事を継続しやすい形態にできるよう、取り組みを進めていきたいと思っております。

最後に、サクセッションプランを策定しています。中期経営計画の「責任ある変革者」の図の一番下、「プラットフォームの進化」の中に「ガバナンスの進化」を加えています。さらにその下に「サクセッションプランの策定」があり、ここでは次世代役員の育成が大事になってきます。

資料 人材アセスメントProfileXT® 変革期を担う人材像の見極め

例えば、昇格者を審議する材料として、HRD社の提供する人材アセスメントツール「ProfileXT®」を導入しています。

とくに当社は変革期に入っていますので、全役員にアセスメントを受けていただいて、この変革期に合うモデルはどのようなものかということをデータで示し、それをもって将来の役員候補を客観的に分析するための材料とさせていただいております。

早足ではありますが、私のプレゼンテーションは以上となります。

福島:ありがとうございました。非常に印象的なのは、やはり昭和シェルさんとの融合の中で、昭和シェルの中にあったDE&Iの要素を重視していこうと戦略に取り込んで、両社のカルチャーが融合していっていることですね。それは本当に素晴らしいことですし、クロスメンタリングのお話も結構メディアに取り上げられていらっしゃいますよね。

山田:よいか悪いかは別にして、出光興産は旧態な会社でしたので、2019年の統合前は女性役職者の数も本当に数えるくらいでしたが、女性活用をしっかり始められている昭和シェルが入ってこられてから、かなり世界が広がりましたね。

福島:そのように、異なるカルチャーをうまく取り入れて力に変えていることが、出光興産の人材戦略にも紐づいていることがすごく印象的ですし、こうした多様性発揮に対してソフト面とハード面の両方から施策に取り組んでいらっしゃると見受けました。

真の多様性とは何かを捉え、企業がジョブフィットを推進する重要性

ビジネスコーチ株式会社 専務取締役 コーポレートコーチング本部 本部長 山本 佳孝 氏

福島:この後は、ビジネスコーチの山本さんによるプレゼンテーションに入ります。山本さんはエグゼクティブコーチとして出光興産にコーチングを提供され、かつ我々のパートナーという部分では人材アセスメントもうまく活用いただいています。社員の多様性発揮に対して、コーチングとアセスメントをどう生かしているのか、お話をお願いします。

山本:先ほどのプレゼンテーションにあるように、出光興産は現在、大きな変革期を迎えています。その中でも人事戦略上は、サクセッションプランが動いており、弊社としてはサクセッションプランを支援する立場としてパートナーシップを組ませていただいています。

今日は多様性を切り口に、我々が実は気をつけなければいけない多様性の向き合い方について、皆さんと考えていきたいと思います。とくに表題には「感覚からの脱却」という言葉をあえて入れましたが、これがどんなことなのかを一緒にお考えいただければと思います。

多様性を生かすというと、よく「ダイバーシティ経営」と言われたりしますけれども、一体それはどういうことでしょうか。それは、「どんな人を採用することなんですか」そして、「どのように活躍してもらうことなんですか」ということを、明らかにすることです。

それを司るのが、まさに人事部門の皆さまですね。ところが人事の担当の方も異動で変わります。会社の中に用意されている職務内容も変わります。多くの人材や陣容も変わります。出光興産のケースでいうと昭和シェルの皆さまがお入りになられました。いろんな変化が起きます。

そんな中、人事戦略を進める上で、何によって人事戦略を固め、進めていけばよいと思いますか? 先例踏襲がよいのでしょうか。担当者の好みも出るかもしれません。あるいは、印象や評判でしょうか。そのときの勘でしょうか。

日本の企業では長い間、往々にしてこういった判断基準に左右された人事がなされていたのではないかと思います。私などもこういう年ですから、そういった環境の中でずっと育ってきた1人だと認識していますけれど。

そうした環境の中で、私たちが再考しなければいけないのは、真の多様性とは何かを理解しなければいけないということです。近年よく言われる人的資本経営というのは、多様な人たちそれぞれの価値を最大限に発揮するからこそ、人材を資本として考えるからこそ、組織や売上を大きくできるという考え方ですよね。

多様な社員がいて、多様な職務があるからこそ、そこにジョブフィットが生まれます。ジョブ型の人材の獲得が進み、よりよく働いてもらうことが成り立つわけです。

では、それを一体どんな根拠をもとに進めればよいか、という問いが生まれます。ここで、1つの絵を投影します。もともとは森にいろんな種類の樹が植わっていました。これをですね、使いやすいように切り倒して、元は何の樹だったかわからないような均一な角材にならします。こうした人材戦略や人事が、今までの日本企業で行われてきたのではないかと思いますが、皆さんいかがでしょうか。

資料 多様性、多様な人材育成~活用ってどういうこと?

(美しい庭園の絵を提示しながら)本来は異なる樹がせっかくあるわけですから、それぞれの美しさを出しあうと組織全体はこんな状態になると思いませんか? 組織全体に大きな価値が生まれます。こういったことが、実は人材を活かすということだと思っています。これが、社員に多様性を発揮してもらい、組織全体の価値向上に繋げるイメージです。

満足度の高い人材育成・キャリア形成のために欠かせない科学的アプローチの採用

今、私たちが気をつけなければいけない多様性の取り組みとは、氷山の一角ではなく、水面下に隠れている部分に着目する必要があります。氷山の目に見える部分、例えばその人のスキルやキャリア、職位などを捉えて多様性を論じている傾向がある気がします。

ところが目に見えにくいところにも多様性の種が眠っています。例えば、意思決定の基準や信条や、人格といった、意図的に観察をしないと掴みづらい事柄があります。

人が職務に向かうときに、自分にとって合う合わないとか、頑張れるとか、興味が湧くとか、やる気を失ってしまう状況や対応などがあります。こうしたことを含めて心地よい状況がジョブフィットしている状態と言えると思いますが、果たして私たちはこういったところまで洞察し、その人に最もふさわしいジョブフィットを定義し提供できているか、ということが問われていると思います。

ということで、ジョブフィットを前提とした多様性が重要であるという考え方を深めていきましょう。職務にフィットしている人材は、そうでない人材と比較すると、2.5倍の生産性の差が出るという調査がハーバードビジネスレビューから出ています。

つまり、企業側の生産性を上げたいと考えるのであれば、いかに精度の高いジョブフィッティングを実現するかという点にフォーカスする必要があるということです。エンゲージメント経営に取り組んでいる企業もつまりは、社員が「この仕事をやりたい。やっていると成果が上がる。だからうれしい」という好循環を生めるかどうかだと思うんですね。

そしてもう1つ。『ストレングス・リーダーシップ: さあ、リーダーの才能に目覚めよう(トム・ラス、バリー・コンチー著、日経BPマーケティング社)』の中で、人々が仕事に熱意を抱くのは、「自分の強みを経営者から認めてもらい、それを職務で発揮できているときである」と明示されています。

ということは、1人1人が持っているその人らしさや強み、魅力を経営者が把握しなければ駄目ですよ、ということです。もし、ジョブフィットが不整合であった場合には、生産性も下がるし、ミスも増えてきて、結果的には離職が増えるといったマイナス面が起きます。本人は、辛いな、やる気が出ないなと思いながら仕事をすることになるからです。

人間関係に馴染めないということもありえますが、実は職務との不整合も大きなファクターであるということです。そのことを、ぜひ私たちは押さえていきたいと思います。

ドラッカーの言葉を借りると、人のマネジメントとは人の強みを発揮させることであり、多様な強みが組織の中にたくさんあるからこそ、組織全体で見ると生産性が発揮され、人の弱みも中和されるということです。ということは、やはりジョブフィットを探求しなければいけません。

だからこそ、人事において感覚も大事かもしれませんが、もう少し科学的な根拠を持つ必要があるという気もしています。先ほど氷山の一角の話を差し上げました。水面下に隠れている部分はどのように掴みますか? もちろんコミュニケーションから掴めることもあれば、仕事の共同作業によって理解の進むこともたくさんあります。

ただ、今日は先ほど出光興産でもProfileXT®︎を取り入れられているというお話がありましたが、非常に科学的なアプローチによって、潜在的な能力を測定し把握することができます。こういったアプローチの採用により、普段はなかなか見られない、その方の思考スタイルや行動特性などを可視化することが可能になってきています。

ジョブフィットを簡単に説明すると、個人の資質と組織が求める人物像を合わせていくということです。ProfileXT®︎のアウトプットとしては、思考スタイルや行動特性の出方が1から10のスケールで表されます。「この人をここに配置するとよく活躍してもらえそうだ」、「この人は残念ながらやる気を失ってしまうかもしれない」といった仮説が立てやすくなります。ProfileXT®︎のアウトプットをもとに、定義した職務に向いている社員を考えていくということです。

私の方で、3つの職務を設定しました。職務1「新たなサービス開発によって新領域を開拓するジョブを担うには、どんな人が向いているか」、職務2「周囲の変化スピードに惑わされることなく、堅実に業務を遂行するジョブにはどんな人が向いているか」、職務3「組織のサイロ化を解消し、横断的な共同体制を作るときには、どんな人に任せるのがよいか」。

ある社員の方については、自由奔放でスピードと推進力、突破力のある方であると、PXTのデータから読み取れました。この方はおそらく職務1に向いていますね。別の方は、共感と周囲のニーズに応える力が認められました。まさに職務2に向いているといえます。また別の方は、もっともバランス型であり、俯瞰的な状況対応が得意であることがわかりました。こういった方は横断的な共同体制を作り上げるという職務3にとって不可欠かもしれません。

従来は、「あいつならできるんじゃないか」というように、感覚で決めている部分も多かったと思いますが、その人の特性を可視化しながら、職務と紐づけることが可能になっています。もちろん過去の知見による勘や人の感覚も大事です。それに加えて、こうした客観的なデータも用いると、ジョブフィットの精度がより上がるということだと思っています。

今お伝えしたように、私たちは人材を育てる上で教える(インプット、教育)フェーズがあります。ところが、先ほどの角材の絵のように、せっかく育った樹を切り倒して均質的な木材にしてしまうと、これは資本を活かした経営ではなく、取り換えの利く資源を生成する人的“資源”経営になります。需給の関係で人材を捉えることになってしまいます。

多様性を育む必要があります。その人ならではの特性を見いだし、経営に活かしていくのが人的資本経営です。そうすることで、調和がとれて非常に美しく、全体の価値を生む組織ができていきます。そのような人的資本経営をぜひ実現していきたいと思っているわけです。

別の言い方をすると、人材の教育においてはティーチング(教えることが主体、一方向的なインプット)でスキルやマナーを教えることが中心になります。一方、人材の育成においては多様性を育む必要があり、ビジネスコーチではコーチング(本人の主体性を重視し、あるべきゴールへ導く)の手法を用いて、その人の内面にある魅力を外に出すお手伝いをしています。

それでは最後に、私自身のコーチングの事例をお伝えします。

ロジカルで熱血的な思考スタイルを持つ社員の方がいました。決断性が10なので、極端な言い方もされます。旧型の典型的なリーダーで、自分のロジックでどんどん物事を進めていくので部下がついていけない、このハラスメント傾向を改善したいというご相談をいただき、コーチングを始めました。

ProfileXT®︎のデータをどのように見る必要があるか、というお話もしました。例えば、自分自身が感じるストレスがどこから来ているのか、なぜ相互理解をうまくできないのかといった課題に対して、「自分はこういう傾向があって、人はそれとは違うんだ」という点に気づき、理解を進めていくことが可能になりました。

資料 ProfileXT ®を活用したコーチング事例

ちなみに1から10というスケールで傾向が表されますが、真ん中にいらっしゃる方は幅広い方のことを理解できますが、1や10といった傾向の強い方についてまでは理解が届きません。1や2にいる方同士は理解し合えますが、真ん中より数値の高い領域の方については理解が届きません。そうしたときにProfileXT®︎を用いると、双方の理解に役立ちます。

先のクライアントの方から、コーチングの終盤にこんなことをおっしゃっていただきました。

「自他の違いや多様性というものを非常に強く意識するようになりました」「自分のストレスが何故起こるのか、この理解を通じて解消できるかもしれない」「他社や周囲にイライラが起こる理由が自分にあることがわかった」と。

クライアントの変容がこれを機に一気に加速したという経験がありました。人的資本経営を進める上で、ProfileXT®︎のような科学的なアプローチを取り入れることが有効性を増すのではないかと考えております。

皆さんの組織をよくご覧いただいて、適材適所という言葉があるとおり、人材の最もよい配置ができると美しい庭園のような全体価値を生む組織ができあがっていくと思っています。人事戦略において感覚一辺倒ではなく、科学を取り入れることで、私たちの感覚をより確かなものにしていくことができると考えております。

駆け足ではありましたが、このように多様性を見ていくと、みんながエンゲージメントを高めながら活躍できる、そんな企業が生まれるのではないかと考えております。どうもありがとうございました。

福島:ありがとうございました。私、山本さんのプレゼンが大好きで、先ほどの木材と日本庭園の表現はまさに「そうか、多様性ってこういうことなんだ」ということを視聴者の皆さんにも感覚で受け取ってもらえたのではないかと思います。まさに、ああいう組織を作りたいですよね。

山本:そうですね。せっかくいろんな人がいらっしゃるので、調和のとれた庭園のような組織になると、本当にみんなそこから離れたくなくなるじゃないですか。自分の居場所がはっきりしていて、組織の全体の価値に貢献していることが明確なので。「自分はここにいると一番美しい」と言える状態なので、魅力が湧きますよね。

福島:全体で調和の取れた日本庭園があって、その中で1人1人が自分らしく咲き誇っていて、全体に貢献しているということが、まさに多様性について表現していると思いますし、でも1人が抜けるともしかすると全体の魅力が下がってしまうかもしれません。

山本:そうだと思います。

福島:プレゼンテーションの最後に「科学を活用して感覚からの脱却を図る」という主題がありましたが、あれは美しい感覚的な世界を実現するために科学を使いながらマネジメントしていこうというメッセージだと私は受け取ったのですが、そんな理解で合っていますか?

山本:「感覚からの脱却」と、やや強い言葉をタイトルには使いましたが、感覚はもちろんあっていい。勘もあっていいものだと思うんですね。ただ、そちらに頼りすぎると、組織の継続性に欠けてしまいます。例えば、人事部長が変わると判断基準もガラッと変わるといったことになってしまいます。

その際、ベースに科学を置いておき、それと感じた物事や感覚などを組織でディスカッションし、ベストな状態に導くようなアプローチがあってもよいのではないか、ということをお伝えしたいと思いました。

福島:出光興産とも一部、ツールを入れながら進めている現状ですね。ここで質問をいただいているので、読み上げます。

「中小企業の人事担当をしています。人材、人事領域の新しいアプローチは何をもって効果があったのかという効果測定の難しさを感じます。新しい取り組みを社内でプロジェクトとして進める上で、ビフォーアフターとして皆さんの指標基準はございますか?」

山田:先ほどの従業員の満足度という意味では、一番分かりやすいのは、オフィスの改善はエンゲージメントに関する指標の中で効果が分かりやすく出てきます。ただ、人事的な面でオフィスの改善効果がすぐに出るかといえば、すぐには分かりません。エンゲージメント指数を測っていらっしゃるのであれば、2年3年と時を経て効果が現れてくると考えていますが。

山本: 弊社でもそうですが、やはりエンゲージメントサーベイを運用していますので、どこにどんなプラス・マイナスの影響が起こるのかをウォッチして、その結果と取り組みを紐付けるのが一番納得感を得られる、あるいは改善点を見つけやすくなると考えております。

福島:私個人の意見としては、気をつけなければいけないのは、データだけでなく取り組みの中身をよく見ることかなと思いますね。例えば、データの結果がすべてだと感じて、「育成を図ったのにスコアが上がらなかった、では止めよう」といった判断をすることもあります。

ですが、中身を見ていくと、実はリーダーシップのスタイルを変えようとしている途中で、ある項目が一次的に下がっているだけといった場合もあるので、判断はすごく難しいと常々感じていますが、数字に踊らされずに中身もちゃんと見て変化を正確に捉えることも重要だと思っています。

日本企業で多様性が浸透しづらい理由と壁を突破するためのアイデア

対談風景

福島:では、残りの時間でディスカッションに入っていきましょう。

いくつかテーマを用意していますが、日本の組織でも多様性を発揮できたら嬉しいですが、そうはいっても多様性の発揮が阻まれているのは何らかのバイアスが存在しているからだと思います。無意識のうちに画一的な文化を作ってしまったり、同調圧力が強かったり、企業が好むような人材を作ろうとしてしまったりといったことを企業は悪気なくやってしまうことがあると思いますが、企業がバイアスを取り外していくために、どんなことが必要でしょうか?

山田:人は自分と同質の人をどうしても登用しやすい傾向があると思うんですね。役員の方はそうした判断をしていないと思いながらも、そういう傾向をなくすように導いていくのが一番大事かなと思っています。

我々の今の役員層はスキルキャリアマトリックスを作りながら、それぞれの方がどんな特性を持っているかを一覧にしています。それは、将来的に出光興産がさらに伸びていくためには、「この素養を持つ人が役員層に少ない」といったことを見える化するためだと思っています。

スキルキャリアマトリックスがはっきり分かっていれば、将来の役員候補になる方々にProfileXT®や、リーダーの育成プログラム「CheckPoint360°™」などを受けていただいて、その方の素養を我々はしっかりとデータとして役員層に提示して、新しいポジションを治めるための準備をするのが、我々人事部の仕事だと考えています。

福島:バイアスを外すために客観的な情報を人事部門で整えて、役員層に対して示していくということですね。山本さん、いかがですか?

山本:バイアスそのものを取るべきかという議論もあって、私は取っていくものでもないと思っています。それは、生まれ育った環境や、国籍による個性であるとか、多様性に紐付くさまざまな前提があるので、バイアスはもうあることが当然であるものだ、と思うからです。

バイアスをある程度受け入れた上で、1人1人違うということを認識することが必要だと思います。同調圧力と呼ばれるものと、企業文化を作ることを混ぜてしまってはいけません。

例えば、強いリーダーシップを持った創業者がいらっしゃって、社員も全員そうになれと言ってしまうと同調圧力だと思いますが、その会社が大事にしてきた物事を社員に伝えることで「自分もああなりたいな」「こういう組織にいるのは素敵だな」と思ってもらうのは企業文化の浸透であり、理解の浸透であるので、同調圧力とは別のアプローチだと思います。

企業文化を浸透させようと「こうじゃなきゃ駄目だ」と社員を型にはめようとすると、逆に反発を招いて離れていく人も生まれてくるはずなので。同調圧力と企業文化のアプローチを切り分けるのが、マネジメント上は重要なポイントなのではないかと思っています。

福島:そうですね。お二人のお話を伺っていて、組織が多様性を発揮していけるように着眼点を養うといいますか、アップデートしていくことが大事だと思いました。人は思い込みのある生き物です。それを前提にあらゆることを設計していく必要がありますし、出光興産のクロスメンタリングのように、思い込みを外すような施策を全社的であったり局所的であったり取り組んでいく気概が必要かなと思います。

もう1つのテーマについて。社員の自発性を育みたいという話をよく耳にしますが、ある意味で会社の期待するように社員を教育してきた文化の企業においては、急に「自律してください、自分でキャリアを考えてください」と言っても、どうしていいかわからなくて答えを待つ姿勢が根付いている企業の場合は、どのように社員の自発性や働きがいを生み出していくかもポイントになると思います。いかがでしょうか?

山田:先ほどもお話しましたが、仕事とキャリアと勤務地も含めて、これまでは会社が決定して社員に通達していたわけですね。そうすると、逆に社員からすると、もしキャリアに自分が合わなかったら、会社が悪かったと文句を言えるというメリットもあったと思います。

自律的なキャリア形成を支援するようになり、弊社では今、「会社は選択肢を用意するので、自分で選んでください」という言い方をしています。すると、これまで選んだこともないし、自分で責任を負うことになるので、社員は逆に躊躇します。なかなか動きだせないと思います。

そういった意味では、我々はこの数年前から相談窓口を作っていまして、国家資格であるキャリアコンサルタントを社内で育成しながら専門の部署を作り、あえて人事部から切り離しています。いわゆる心理的安全性を保つためですね。その相談窓口では年間に何百人も相談を受けており、我々は相談に訪れた人数しか把握していませんが、それでいいと思っています。ただ、小規模な取り組みではありますので、今後は社員が自分たちでライフキャリア形成を策定できるような、専属の部門を作っていこうと考えています。

福島:出光興産の本気度が伝わってきますね。

山本:具体的な手を次々と打たれているので、素晴らしいと思います。

福島:山本さんの観点では、社員の自律性を高めていくために、どんなことが必要だと思われますか?

山本:日本企業の社員は、これまで教えられて仕込まれて指示命令を受けるのが当たり前で、従順であることが美徳みたいなところがありましたので、それよりも自律的な人材を育てることは難易度が高いと思います。

そのときに何を増やすべきかというと、「上手な問いを増やすこと」です。とくに上司の方が、あなたはどうしたいですか、考えるにあたって何が足りませんか、自分(問いを発している上司のこと)には何が応援できそうですか、といった問いを立てていくと、相手の自分ごと化が進みはじめます。

少しずつですが、「自分の考えを述べていいんだな」「自分の考えを提示すると相手が応援してくれるのかな」と思いはじめる。問いを起点とする関係作りを進めていくことで、徐々に部下との関係の質や組織風土が変化して、自律的・自発的な人が生まれてくるということが期待できると思いますけれどね。

福島:たしかに、問われたということは答えていいから問われているんだなと思いますし、まず自分の意見を言うことへの躊躇を外すということですね。そこから徐々に自発性を醸成していくということですね。時間をかけながら丁寧に。すごく必要なことだと思います。

山本:(質問にうまく答えられない部下に対して)「これに答えなさい」と命令口調になると、これはまた意味が違ってきますので、「自分の意見を述べてもいいよ」というメッセージを前提とした問いを立てなければいけないと思います。

福島:そうですね。それでは最後にひと言ずつお二人からいただいて、セッションを終えたいと思います。

山田:先ほど申しました通り、KPI上はかなり浸透してきたように見えますが、まだまだ道半ばだと本当に思っています。どうしても新しいことをやろうとすると総論では賛成なのですが、具体策を出すと各論で反対という声が社内からたくさん出てきます。それを強引に、やり込めるとハレーションが起こると思っていますので、新しい施策を提案しながらもフェイストゥフェイスで社員の話を丁寧に聞きながら、じっくり進めていくことが必要だと思っています。

山本:私からはこれをご覧いただいている皆さまへ、「皆さまのいらっしゃる組織や企業が日本庭園のようになるにはどうしたらよいでしょうか?」という問いを差し上げて、終わりたいと思います。

福島:それでは、本セッションを終了させていただきます。ありがとうございました。


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動画申し込みURL:https://survey.hrdgroup.jp/zs/2YClHm

2024年01月25日

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