ラーニングのオンライン化のその先、3つの方向性
~変化が必要なこと(STOP)/新しく始めること(START)/変わらないこと(KEEP)~
ユームテクノロジージャパン株式会社ビジネスプロデューサー
株式会社ラーニングシフト 代表取締役
小仁 聡 氏
株式会社シェアウィズ 代表取締役
辻川 友紀 氏
登壇者のご紹介
小仁 聡 氏
ユームテクノロジージャパン株式会社ビジネスプロデューサー
株式会社ラーニングシフト 代表取締役
大学卒業後、(株)ビジネスコンサルタント、アルー(株)、(株)ファーストキャリア、(株)セルムを経て、株式会社ラーニングシフトを設立。100年時代の学びをアップデートするべく、HRテクノロジーを活用した事業開発、研修・組織開発コンサルティングを提供。UMUの国内での拡販に初期メンバーとしても参加。現在、企業のラーニングのオンラインへのトランスフォーメーションを支援している。DiSC®認定コンサルタント。
【UMUに関するお問い合わせはこちらまでお寄せください。】Email: cs@umu.co
辻川 友紀 氏
株式会社シェアウィズ 代表取締役
1984年生まれ。京都大学大学院生命科学研究科修了。P&Gジャパン(株)を経て、2012年に(株)シェアウィズを設立。「学習コンテンツの流通を最適化し、学ぶ希望が見つかる場所をつくる」をミッションに掲げ、社会人向けのオンライン動画学習サービスを提供。個人向けの学習コンテンツプラットフォームShareWisの他、研修事業者、教育事業者等を対象にした、法人向け学習コンテンツ配信システムWisdomBaseを展開している。
【シェアウィズ社へのお問い合わせはこちらまでお寄せください。】Email: support@share-wis.com
ReThink Day3 イベントレポート
HRDグループが毎年開催しております「Assessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。
ReThink第3回目は、ユームテクノロジージャパンの小仁様と株式会社シェアウィズの辻川様をお招きし、「ラーニングのオンライン化のその先、3つの方向性」というテーマでご対談をいただきます。
ナビゲーターは、HRDグループの久保田智行が務めます。
オンライン化によって、教育プロセス全体の設計と実践が可能に
久保田:新型コロナの影響で、教育や学びが一時止まってしまい、その後オンライン化が進みました。しかし、教育については、以前から変化や革新が求められていました。新型コロナの影響により急激な変化が余儀なくされましたが、もし新型コロナが収まったときにどうなるのか。本日お招きしているおふたりは、新型コロナの前から教育や学習の変化を見据え、実践されてきました。さらに今は、未来を見据えていらっしゃると思うので、是非おふたりの知見を共有していただければと思います。早速ですがラーニングの変化について、小仁さんの所感をお話しいただけますか。
小仁:今年は、多くの企業様がオンライン化に踏み切りました。来年度からはどうなるのか、ということについて情報提供をさせていただきます。本日のテーマであるラーニングのオンライン化は、今から2年前、もともとは東京オリンピックを見据えた準備が進められていました。私たちが提供するラーニングプラットフォーム「UMU(ユーム)」も、今回のコロナ禍の中で、一気に受講者が増えました。日本国内において、アプリの企業ユーザー登録も9000社に到達しています。そんな状況下において、私たちが実感したニューノーマル時代の学習トレンドについてお話ししたいと思います。
2020年度はオンライン化の年になりましたね。ここで言うオンライン化というのは、これまで主流だったeラーニングだけでなく、Zoomなどを活用した、オンライン研修と学習という領域まで波及したという意味です。いつでもどこでも、どんなときでも可能になりました。しかし厳密に言うと、オンラインと一言でいっても色々なものがあります。
軸で分けると、上が双方向で下が一方向。右と左が同期、非同期ですね。Zoomによるグループミーティングは、右上のオンラインクラスルームに該当します。この領域は共有体験を実現し、即時フィードバックがあり、対話を通じて学ぶことに向いています。一方で、ウェビナーは一方通行ですが、拡張性が高いですし、記録・保存して二次利用ができます。先ほどのオンラインクラスルームでは参加者のプライバシーや機密性の高い情報を含めた様々な声が入っているので、他では利用できません。
そして左側の非同期では、オンデマンドは設計が不要なので、コスト面でメリットがありますし、これに双方向性を取り入れたのがeラーニングです。自分自身のペースで学習できたり、多くの学習機会があったりするので、全員がアウトプットできます。集合研修は、ぼーっと受けていても受講になりましたが、オンラインではそれができません。
こういったものの中から、効果、効率、コストのバランスを考えながら最良のものを選択するということが、今年、様々な企業様が模索されたところだと思います。
それでは、対面集合型、そしてオンラインの研修や学習が、来年度どのようになっていくか。私たちが考えるキーワードは、「ブレンディッド・ラーニング」です。やはり学習には目的があるので、最適な形で学習方法を組み合わせることがポイントになります。
これからの学習フォーマットは、「教室内でのトレーニング」「オンラインでのライブ研修」「オンライン自己学習」の三つに分類されていきますが、どれもメリットとデメリットがあります。例えば、教室内のトレーニングはその場での参画度はとても高いのですが、アウトプットは設計によっては難しいですね。私はオンラインでのライブ研修が大好きですが、チャットで呼びかけると、全員が投稿をしてくれるので、むしろ情報が多いのではないかと思います。テーマによって、この3つをどのように組み合わせていくのかということがポイントだと思います。
教育のオンライン化最大のメリットは、教育プロセス全体の設計と実践を可能にしたことにあると思います。従来の研修はイベント色が強く、本当に身についているのかどうかが疑問でした。フォローでもう一度集合研修をするのは交通費や宿泊費がかかりますよね。ここで有効なのがブレンディッド・ラーニングです。やはり「知っている」を「できる」にするためには大きな壁があり、定着化や現場で使ってみてなんぼの世界です。オンライン化によって、やってみたものをしっかりとフィードバックしてコメントをしたり、他の人と共有したりすることが可能になり、学び方も大きく変わりました。
従来型のeラーニングはコンテンツが多く、少しテストをするくらいのものでした。今の「マイクロ・ラーニング」では、短いコンテンツを学んだら都度、実際に話すのか、試験を受けてみるのか、あるいは自分の言葉にしてみます。そして、もう一度フィードバックを受けます。このサイクルを実行するには、コスト面を考えると、どうしてもオンラインを使わざるを得ません。むしろ、オンラインを使うことによってのみ可能になります。来年度の学びのスタイルは、事前にオンラインで学習し、その後、集合研修を行い、事後にオンラインでフィードバックをするという流れになると考えます。
私たちは、これを「パフォーマンス・ラーニング」と呼んでいますが、成果が上がるための設計があって初めて活きてきます。なので最悪の設計をデジタル化すると、最悪の研修になってしまいます。よって知識やハンズオン(実際に手などを動かすもの)、ソフトスキルや理念浸透など様々なテーマに応じて、どうしたら効果的に教えられるのか、どうしたら効果的な練習ができるのか、どうしたら評価できるのか、それをブレンディッド・ラーニングで集合研修と自己学習、オンラインのライブ研修を組み合わせながらやっていくということが、来年度の研修の在り方になっていくと考えています。
求められるのは「マイクロ・プラクティス」
久保田:ありがとうございました。まさにここ半年で起こっていたことで、試行錯誤しながら少しずつ正解にたどり着いているようなところを、言葉にしていただいたと思います。
先ほど動画の話がありましたが、教育用のコンテンツはどのように作ればいいのか。続いて、シェアウィズの辻川様からお話をいただきます。
辻川:改めまして株式会社シェアウィズの辻川と申します。2012年から社会人向けの学習サービスを展開しています。弊社のミッション自体が、学習コンテンツの流通を最適化するということを掲げています。学ぶべき人に学ぶべきコンテンツ、今は動画が多いですが、そういったものを適切に届けていくことをミッションに掲げて展開しています。
今回のメインテーマである、オンライン学習に適したコンテンツ制作ですが、いわゆるオンライン学習の動画のフォーマットはいくつかあると思います。一番多いのは「スクリーンキャスト」と呼ばれるフォーマットです。どういうことかというと、画面を操作している様子を録画して、それに対して声をあてるものです。ソフトウェアの説明や、プログラミングの講座などで頻繁に用いられるフォーマットですね。また、セミナーで使用するスライド資料に音声をあてて、スライド上でもいくつかアニメーションを使うものもあります。3つ目の「講師正立」というのは、スピーカーの方が1名立ってお話をされたり、ときどきスライド資料をワイプで抜いて先生の顔を出したり、研修やセミナーのコンテンツを動画ものにする際は、こういったものが一般的だと思います。そしてその他に、ドラマ仕立てにしたり、アニメーションにしたりというパターンもあります。制作の難易度でいえば、スクリーンキャストが一番簡単で、その次にスライド資料に声をあてるもの、続いて講師正立、最後にドラマ仕立てという順番でしょうか。
コンテンツ化を進めるうえで何が重要かについてお話をします。まず、固定のスライドに声をあてるだけのコンテンツはつまらないですよね。なぜつまらないのかを説明するために、カーンアカデミーの動画を紹介しています。黒い画面上にペンで書いて足し算などを教えるものですが、先生はときどき間違ったりします。しかしその間違いがあるからこそ、ライブ感が出ます。例えば数学を頭の中で考えているような追体験ができるので、コンテンツが実際に自分の頭に染み込んでいきます。要するに、この追体験が重要です。それをどのように設計できるか、映像上で表現できるかが重要です。
先生が立って話すという動画で、すぐにできることは、まさに目の前で話されているような目線を意識することがポイントです。テレビなどでも目線が横にずれて「この人カンペを読んでいるな」と感じた瞬間に、つまらないコンテンツだと感じます。やはり受講者は、先生に教えてもらったり、体験したりすることを求めていて、誰かが文字を読んでいる様子を観察したいわけではありません。目線の改善はすぐにできることでもあり、コンテンツ化するうえでもっとも重要なポイントだと思います。
YouTubeが流行っていますが、YouTubeと学習コンテンツの違いで言いますと、視聴者の目的意識が明確化されていることにより、映像の作りも変える必要があります。YouTubeがまさにそうですが、「なにか面白いものはないかな」と見る場合には、装飾的な引きのある映像やタイトルのコンテンツが良いでしょう。一方で「これを勉強するぞ」と目的が明確な場合は、反対にその装飾的な要素が邪魔になります。
例えば、弊社で一般の方向けに展開している中国語の表現学習動画があるのですが、文字が出て中国語の読みがあり、それを繰り返し練習するというフォーマットで、非常にシンプルです。装飾的な要素は全くありません。これが利用者には好評で、YouTube上の同様のコンテンツは、邪魔な要素が多いという声さえあります。このように「中国語の勉強をする」という目的が明確な場合は、コンテンツもシンプルな方が良いですね。
利用シーンや目的に応じた設計ということで、コンテンツの冒頭部分はかなり引きを意識した装飾的な要素があった方がいいと思いますが、進むにつれて装飾が目障りになってくるので、簡素化していく設計がベストです。
社内や研修会社で動画コンテンツを大量生産するコツは、どのコンテンツも同じですが、ひな形があれば可能です。量があればいいというわけではありませんが、フォーマットがあれば撮影場所や機材のセッティングを何度も組み直す手間は省けます。また動画編集ソフト上でも、ある程度固定したフォーマットにして、撮った動画をはめ込んでいくという形であれば量産も容易です。目的をそれぞれ明確化し、それに準じたフォーマットを準備すれば、コンテンツの大量生産も可能です。
久保田:ありがとうございました。大量生産という話がありましたが、オンライン学習のコンテンツは、ある程度の量は必要になりますか。
小仁:そうですね。おそらくこの先、企業のデジタル化が最終的に向かっていくのが「アダプティブ(一人ひとりへの最適化)」と「パーソナライズ(個別化)」だと思います。そうなってくると、受講者のニーズにしっかりと合った推薦がされるためには、大量のコンテンツが生産されていることが条件となります。多くのラーニングベンダーに「AIはないか」「その機能はないか」と期待されていますが、その前に大量のコンテンツがあるかどうかが問題です。そのためにも私は、フォーマット化は必須だと思います。
久保田:フォーマット化ですね。辻川さんは企業とのプロジェクトを多く経験されていると思いますが、きちんとフォーマット化できている企業はどれくらいありますか。
辻川:そもそもコンテンツ化することが初めてという企業様が多く、あらかじめフォーマット化できている企業様にはお会いしたことがありません。ですので、まずはフォーマット化するところから我々が入っていくケースが多いのが現状です。
小仁:やはり、「マイクロ・ラーニング」という考え方にシフトしていく必要があると思っています。マイクロ・ラーニングは、短い動画というイメージが強いですが、実は「マイクロ・コンテンツ」と「マイクロ・プラクティス」の組み合わせです。コンテンツは何かというと、文章やファイル、動画ですが、それだけでも奥が深いです。そして、マイクロ・プラクティスというのは何かというと、試験問題やケーススタディなどのアウトプットするものです。こちらを大量に用意しないと、聞いているだけではいつまで経っても習得しません。しかし、マイクロ・プラクティスのコンテンツはほとんどできていないという現状があるので、これから必要な視点だと思います。
久保田:マイクロ・プラクティスは、あまり意識したことがないかもしれませんね。私も今“そうなのか”と思いました。「プラクティスをコンテンツ化する」というのは難しそうですね。
小仁:大量の試験がそれに当たるので、それほど難しいものではありません。ある住宅メーカーさんでは、動画と試験を大量に作っていますが、実は試験は練習です。ランダムに出てくる問題を解いていくだけで、自分が苦手だったところが記録・保存されて見直すことができます。ですから、講義を聞いているよりもテストを受けた方ができるようになります。これがマイクロ・プラクティスですね。
重要なのは、対話と問いの質
久保田:ここからはバーチャル環境下における組織づくりと人材アセスメントを用いた学びについて考えたいと思います。
多くの方がリモートで働く現在、空間や時間、家庭環境や機器などが、人によってそれぞれ異なります。例えば、社内のミーティング中に家族が遊んでいたり、お菓子を食べていたりということがあります。これをどうしていくか。最近、オンラインでよく言われるのは、個人が自分自身をマネジメントする必要があるという話。ワークだけではなく、生活も含めて、どのように自分自身でマネージしていくか、それと同時に組織側としても、一人ひとり個別化された状況でどのようにマネジメントしていくかということが問われ、マネジメントが大きく変わってきています。そこで、一人ひとりの内面やモチベーション、能力などを明らかにするアセスメントがひとつの媒介として注目されています。
人材アセスメントツール、つまり触媒をいかに学びや成長に繋げるのかを考えた結果、私がたどり着いたのが、英語で言うところの「Ah-ha! Moment」です。「そういうことだったのか!謎が解けた!」ということですね。例えば、私たちが扱っているDiSC®というアセスメントでは、回答して終わりではなく、ライブで共有することで「そうなのか!」という気づきがあり、それが組織づくりに繋がっていきます。オンラインのライブでもできますが、どうやって非同期型のコンテンツと結び付けていくのかというデザインが難しいと感じています。しかし、それは絶対的に必要です。
例を挙げますが、私たちが開催しているDiSC®認定セミナーも、ここ半年ほどはオンラインで実施しています。Zoomを使い、ライブで集まっていただきますが、集合研修をそのまま再現するのは時間的にも難しいと感じたので、時間を短くし、且つただ聞くだけの時間もライブの中では極力排除しようと、先ほど小仁さんからもありましたが、事前の自己学習をしていただき、中間の自己学習として1日目が終わったら、2日目に向けてのインプットをしていただきます。質問等もそこに入れていただくという、フィードバックも含めて行います。終了後はオンデマンドによる自己学習ということで、自分自身のペースで復習もできますし、新たな学びもできます。
特に事後学習において、認定セミナーは比較的コンテンツがかっちりとしていますが、それでも参加者によってニーズが違います。例えば、研修会社の方も認定セミナーに参加されますが、そのような方は「ツールの売り方」を知りたいですし、社内の人材育成担当の方は「研修の進め方」を知りたがっています。そういった個別のニーズというのは、事後学習の中で個別にフォローをしていきます。コロナ前にUMUに切り替えましたが、非常に良いタイミングだったと感じています。
事前に基本の学習をインプットしていただき、ライブではなるべくグループでのアクティビティを中心に展開します。そして「Ah-ha! moment」を最大限に得ていただくようにして、事後学習で復習していただきます。認定テストも設けています。
私たちのアセスメントで「ProfileXT」というものがあり、指標がたくさんありますが、それを動画で自己学習できるようにしています。また、ガイドブックを用意しているので、映像を見たりガイドブックを読んだりすることによってオンライン学習化しています。eラーニングと括っていますが、十分な納得感を得られるという成果も出ています。このような仕組みも私たちはトライしています。アセスメントというのは人の内面なので、どこをデザインするのかは難しいなと思いながら試行錯誤を繰り返しています。
皆さんもおそらく研修となったときに、インプットだけではなく、いろいろな気づきや組織にアプローチすると思いますが、何かヒントがあれば、お二方から教えていただきたいと思います。
【DiSC®】 心理学者ウィリアム・M・マーストン博士により提唱されたDiSC®理論をベースに、1970年代に開発された自己分析ツール。職場で人がどのように自分を認識しどのように行動するかを「D主導」「i感化」「S安定」「C慎重」の4つの行動特性で測定する。著作権はWiley社所有。
【ProfileXT】 人材が組織内の特定の職務にどれだけ効果的にフィットするかを測定するアセスメント。採用、選抜、育成、マネジメント、戦略的な人員配置に活用できる。著作権はWiley社所有。
小仁:UMUをこのように使っていただいているということが感動的でした。反対に私から質問ですが、このようにブレンド型で行っていくうえで、納得感を上げていくため、効果的に運営するためのポイントはありますか。
久保田:私はアウトプットの線引きが難しいと感じていて、動画を撮り直して入れ替えたりしながら作っています。ポイントがあるとすれば、試行錯誤です。今は動画が簡単に作れるので、とりあえず動画を作ってみます。最初から完璧を求めるのではなく、とりあえずやってみるということが必要だと思います。
小仁:アジャイルでどれだけ作っていけるかですね。個人運営している会社のスタッフがマレーシアとオランダに1人ずついますが、実際にDiSC®を使いながら事前に読んでもらい、私が話したオンライン動画を見てもらって、Zoomの中でお互いのことを話してパーソナルな部分を触れあいます。アセスメントが「触媒」であるということについては本当にその通りだと思いました。
私が考えるカギは、「対話と問いの質」だと思います。要するに、コミュニケーションデザインです。動画に対して人が感じることは様々なので、対話をデザインすることでコンテンツやアセスメントがどう活きるかが決まってきて、かつ問いの質がそれを決めると思います。UMUは、問いにこだわりがあります。まさに、どのような一言の問いを入れて、それについて全員が回答するかというところがアートなので、Ah-ha! momentで繋がるというところや、組織でそれがカルチャーになるというところは、対話と問いだと思います。
久保田:確かに言われてみると、それを意識しているかもしれませんね。
小仁:私はDiSC®認定セミナーを受けた側の人間なので、そこで久保田さんから受けた問いがずっと頭の中に残っています。それこそ次の講義を聞いていないほどです。それが良さだと思います。
ここでひとつ、ブレンド型の事例をご紹介します。ブレンド型の設計をするにあたって最高の教材は、現場での実践経験だと思います。現場での実践経験でアウトプットしたものを、Zoomなどで議論するということです。これは集合研修で実施するのは大変ですが、Zoomなどを使えば1時間ほどでできます。もっとも多い事例としては、とにかくeラーニングや集合でやったあとに1時間の対話会を開くというものです。これはとても需要があるので、通年の取り組みにしていて、一切資料は準備しません。反対に準備をすると余計なものが入ります。
質問への回答
久保田:ご質問をたくさんいただいていますので、お答えしたいと思います。まず辻川さんにお伺いしたいのは、誰がどのようにラーニングをデザインすれば良いかという質問です。
辻川:先ほどアジャイルにした方がいいというお話がありましたが、まさにコンテンツ化するうえでアジャイルにやろうとすると、内製化するしかありません。コンテンツ化を外に頼むとスピードが遅くなってしまいます。このような取り組み自体が始まったばかりなので、誰かが解を持っているわけではないと思います。なので様々な事例を見つつ試行錯誤しながらやるしかありません。
先ほどどの部分をコンテンツ化するのかという話もありましたが、2度3度同じことを話していると思ったところはコンテンツ化をして、毎回違うことを言っているというところはアウトプットで残します。これは何度かやらないと分からないと思うので、最初のステップは全員で模索する期間だとして、まさにアジャイル開発と同じような取り組みが必要だと思います。
コンテンツ化をしたら、事後学習があると思いますが、そこには必ず人が介在すべきだと思います。今までの人を集めて話して終わりという形は分割され、コンテンツ化をする部分や残る部分という形で、やりながら作っていくという方法になると思います。
久保田:「動画はたくさん作ったら、選び方は学習者一人ひとりに任されるのでしょうか。それとも誘導型でしょうか」という質問があります。こちらも辻川さんでしょうか。
辻川:弊社の事例で、障害者雇用の就労支援施設でコンテンツを使ってもらっています。もしつまずいている人がいれば近くにいる先生に声をかけてもらって、そこでコミュニケーションが発生するという方法をとっています。好きなものを選択する方式より、ある程度制限した方がコンテンツは活用しやすいと思います。もちろんいろいろなケースがあると思いますが、「今日はこれ」とお題を出す方が上手く回ると思います。
久保田:テーマごとにコースを作るという感じですね。コンテンツに関してもうひとつ質問が来ています。「オンライン学習コンテンツの制作期間はどれくらいでしょうか?」。辻川さん、いかがですか?
辻川:編集の部分でフォーマット化しているので、我々の場合は、例えば研修の先生で半日ほどのセミナーをコンテンツ化するというときは、綺麗な動画に仕上げるまでおよそ2週間です。
小仁:私はそこまで編集をしないコンテンツがほとんどなので、基本的にはやりながら作っています。まとめて撮ったものから切り出しているものも多いです。また、スライドに声をあてるだけというものは、学習者の習熟度によります。学習効果の研究観点からすると、音声を聞いて画面を見るという、視覚と聴覚の両方に働きかけをしていれば学習効果は低下しないという研究結果が出ています。本当に編集が必要なのは、そのテーマに関心が無かったり、それに引き付けなければならなかったりするときだと思います。私たちが提供する研修というのは、多くの場合が必須で受けさせられている人たちなので、そこは研修の質はあまりこだわらずに、気軽に1、2時間で撮ったものを日常的に流してeラーニングとしてやっています。1日かけることはほとんどありません。
久保田:ライブに近く、SNSにあげるという感覚ですね。
辻川:ライブ配信をしている中高生は多いと思いますが、YouTubeはどちらかというと編集をしたコンテンツです。中高生でも出来るのはライブで、編集なしで流せるという利点があると思います。そこもケースバイケースで、受講者が何を求めているかはフォーマットで最適化をはからなければならないと思います。
久保田:コンテンツと受講者のモチベーションは別ですよね。質問に戻ります。「知識系はコンテンツ化しやすいですが、戦略系や思考系は正解があるわけではないので、OJTで解決するしかないと思います。それが研修講師としての悩みです」とのことですが、戦略系など答えがないものに対してはいかがでしょうか。
辻川:まさに事例を見ていくという話もありましたが、映像でやるパターンの場合は「考えてみましょう」と動画を終わらせて、その後ケースの事例をコンテンツとして出します。そうすればコンテンツとして使えますし、知識インプットではない形で「こういう事例もある」ということで自分のケースについて考えることもできます。基本的には「考えてみましょう」の後に模範解答のような事例紹介という作りが一般的だと思います。
久保田:この質問の方は人材育成に社外から関わるプロ・研修ベンダーやコンサルタントの方だと思いますが、プロの方がどうするのか、社内ではどうするのかという点については、皆さん関心が高いと思います。おふたりともプロの方と企業の方とのやりとりを多くしていると思いますが、ここ半年、新型コロナの影響で変わったことなどはありますか。
辻川:変わっていますね。とくにプロとして研修を提供している側の方が影響を受けていて、DXの面で非常に困っています。その点については我々も必死にサポートをしています。
小仁:働き方も変わっているので、学び方も変わっていますよね。それに応じて提供する方法や、3月以来、私も初めて登壇しましたが、そもそもいる場所も違います。
久保田:お時間が来ましたので、この辺りで終了させていただきたいと思います。お二方、ありがとうございました。
【本編終了後、質問への回答】
久保田:ここからはいただいた質問に答えていきたいと思います。
「受講者側が自分の改善点を見つけ、自分に必要な個別化コンテンツを選ぶ際に、見誤る可能性もあるかと思います。AI化が厳しい環境下だと属人的に選択してもらうことが必要ですが、受講者が適切に選べるようになるには何が必要でしょうか」とのことです。コンテンツをたくさん作り、それを選ぶ際に、AIなどで自動ではできない場合に、どうすれば適切に選べるようになるのかというご質問です。
辻川:かなり難しい部分ですが、1つは、そのコンテンツで何が学べるかということを適切に説明する、タグ付けをするということが挙げられます。
我々もマイクロラーニングで「スナックコース」という90秒の短いコンテンツを作っていますが、「その1、その2、その3」という作りは禁止しています。その1を見なければその2が見られないという形にしてしまうと、1つ1つがスナックではなくなり独立して利用できなくなるので、なるべく1話完結の形で表現するように意識しています。つまり、タグ付けと、文脈に依存せずに完結したコンテンツ化を意識することが1つの解決方法だと思います。
小仁:この質問に「見誤る」とありますが、まず自分自身が課題を認識していることが重要だということと、そのコンテンツが自分に合っているかということがそのコンテンツの情報を見て分かる、ということが必須です。
加えて1つあるのが、学習を1人でやるというところから枠を広げることが重要だと思います。やはりシェアです。自分が良いと思っているものをシェアしたり、上司がその人に合っていると思うものをシェアしたりといったように、自分自身が分かっているだけではなく、その人に合っているものというのは周りで関わっている人も分かっていることですし、そちらの方がピンポイントだと思います。ですから、これからのラーニング・プラットフォームの中で、シェアの機能があるかどうかは生命線です。それが個別化の必須の観点だと思います。
久保田:次の質問は私が答えますね。
「DiSC®の新コンテンツ化は考えていませんか。例えば講師はそれぞれはめ込み型にしてはいかがでしょう。」という質問です。
実はこれに関しては、開発元であるアメリカでそれに近いものを開発して、マーケットには出ています。Catalyst (カタリスト)といいます。日本語化するのは大分先になるかもしれませんが、開発元はDiSC®を学べるプラットフォームを作るという方向になっているので、乞うご期待です。
次の質問です。
「企業内で研修を実施していたときも、今は独立して個人で研修を実施しているときも、事前学習でしっかりと見ておいてくださいと伝えて、それを基に対面研修をしても、上手くいった試しがありません。目的を果たそうとすると、結局対面で再度読んでいただくことになります。何か良い方法はありますか。」とのことです。事前学習で見てくれないことへの工夫はありますか。
小仁:たくさんあるので3つほどご紹介します。
まず1つ目は、そもそも事前課題をやる目的や、やりたいという動機付けがなされていないので、それはやらないよね、という話です。オンライン化になって特にですが、とりあえず事前課題にして投げるだけ、というのはあまり上手くいかないと思います。30分でいいので接続確認とともに事前説明会というものを設けて、まずはオンラインへのログインの壁があるので、そこでみんなでログインをして、どこに何があってなぜそれをするのか、ということをすり合わせるだけで大分実施率は上がります。
2つ目は様々なデータの研究がありますが、「やってきてくださいね」と伝えて出す課題の当日の完了率と、「実際にやって、テストで○○点を取るところまでが課題です」という伝え方では、取り組む研修前の入力時間の波形が変わります。「やっておいてね」と伝えると、前日に徹夜するみたいな人も出てきますが、そうではなく「ある程度ここまでは終わっていないといけません」となると、なだらかになります。こういうことを設計するためには、先ほどの事前説明会はとても重要になります。
3つ目は、誰かがやっていない場合となると、講師としては苦しい状況ですよね。誰か1人がやっていないことが原因でそれに引っ張られてしまいます。こちらの責任ではないのに…という話はたくさんあります。そういうときには10分や15分、時間を全て預けてしまい、やってきた人も必ずいるので、お互いに学び合いの時間で勝手に教え合ってもらいます。なぜかというと、やってきた人はやってこなかった人に合わせると報われません。しかし教えてくださいとなると、その人にとっては訓練に変わります。そうすることで、その人からすると飽きないですし、事前にやってきたことが損にならないので、講師としては完全にその場は手放します。
久保田:それはアダプティブラーニングの応用ですね。知らない人と知っている人がお互いに学べますね。よくあることなので、気持ちは分かります。
次は質問というよりはコメントに近いのですが、「最高の教材は経験の考えが現場へのリスペクトになる。そこからスタートする研修には価値がある。現場が成果をあげてなんぼである。コロナでは一方的なマネジメントは通用しない。」これはおっしゃる通りですね。「70・20・10の法則」でもその通りですよね。
小仁:仕事の成果に結びつく経験ということが70で、20が対話、10が研修というものですね。
久保田:下の70や20をおろそかにして、10の研修だけで解決しようとしても上手くいかないですよね。私は、コンサルタントなど外部から関わる人もそれを安請け合いしてはいけないと思います。70と20のところをあまりデザインしていないというリクエストに対して、「とにかく良い研修を」「良い先生を」ということで解決しようとすると、先方に対しても良い成果が得られません。それぞれの立場でデザインすることが必要ですし、それが現場へのリスペクトや経験が一番大事であるという原則を忘れないということが大事だと思います。
次の質問です。
「集合研修でさえ参加者に集中してもらうことに苦労します。オンライン研修で参加者に集中してもらえるコツがあれば、教えてもらえると助かります。」とのことです。ライブ研修で集中してもらう場合ということですが、講師をやっていらっしゃる小仁さんいかがでしょうか。
小仁:オンライン研修は反応が見えないと辛いですよね。
久保田:カメラをoffにされると辛いですね。
小仁:でも私はカメラのoffは好きですね。カメラをonにしないと出来ない、反応を見ないと出来ないというのは講師のエゴでして、本気で内省したいときに誰かに見られていて、じっくり出来る人というのはいないと思います。私が研修をするときは、基本的にカメラをonするところは限定していて、それ以外は安心、安全な場で集中できる環境にしています。成人学習なので大人扱いをするところからスタートしますし、自分がされたら嫌なことをするというのは意味が分からないので、もちろん研修の内容によりますが、私はそうしています。
オンラインで参加型にするというところで、講師をトレーニングされているボブ・パイクさんが提唱しているのは「90・20・8の法則」ですね。90分単位で行って、20分の中で講義とワークという単元でやり、8分間に1回は何かしらのやり取りをしなければならないというものです。これがオンラインになると半分になり、4分間に1回は何かをしなければ集中力が途切れてしまいます。何かしら、というのは何でもいいです。
つまり設計時にとても大切だと思うのは、受講生がその時間帯になにをしているのかという、私たち側のタイムラインではなく受講生側のto doのタイムラインを作ります。チャットを投稿するといったことや、「次に質問を投げてください」と前出ししておいて、それを受講生が考える時間としてタイムラインを作っておきます。考えている時間など能動的にやっていることを全て書きます。それを受講者同士のプレッシャーを使って、例えば参加者が20人いたとして、UMUの入力で「20人やらなければ次に進めません」となると、自分がボトルネックになって罪悪感に繋がりますよね。そういうものを上手く使いながら全員を参加させていくということは、反対に集合研修よりもやりやすいと私は感じています。その設計書を書くことが重要ですね。
しかしこれをすると受講生は集合研修よりも相当疲れるので、オンライン研修は長くやってはいけません。受講生が4分間に1回何かをやらなければならないとなると、普通に考えても疲弊しますよね。
久保田:そうですよね。集合研修は意外とサボっていますしね。
小仁:そうなのです。集合研修はかなりの余白があります。つまりオンライン研修をするときのポイントは、休憩時間を長くとることです。時には、休憩時間も受講者に決めてもらいます。これが参加者主体の研修設計になります。休憩時間をこちら側で決めるというのは、またこちら側の理屈ですし、自分たちで休憩時間を決めたら必ず戻ってきます。その辺りの工夫というのは、オンラインだからこそできることが増えたと感じています。
久保田:できることが結構ありそうですね。
(ここで事務局としてオブザーブしていたHRDスタッフからも質問が)
HRDスタッフ:先ほどの話の中で時間は長くない方がいいとありましたが、小仁さんは最長でどれくらいだと思いますか。
小仁:オンライン研修の適切な時間ですか。テーマにもよると思いますが、3時間~3時間半ですね。それが90×2というところと、休憩時間を入れてというところと、単元で分けるというところです。これで4つほどのテーマを腹落ちするまでやるということが今一番多いパターンですが、まだ模索中です。
HRDスタッフ:ありがとうございました。
久保田:そうですよね、まだ模索中ですよね。私たちも4月に初めて認定セミナーをオンラインでやるとなったときは、「オンラインだから時間は短くする」ということをいろいろなところから聞き、時間を短くしました。すると明らかに時間が足りなくて、何が削られてしまうかというと、それこそコンテンツが多いので、インタラクティブに意見を出すという時間が確保できませんでした。これは本末転倒で、参加者の疲労度や参画度を見ながら少しずつ時間を増やしていき、今は当初に比べて2日間でトータル3時間増やしました。その増やした時間はほぼ対話の時間です。
やりがちなのは、時間が足りないからと言って対話の時間を減らしてしまうことですね。目的によりますが、これは一番よくないかなと思います。私たちがよくやる組織づくりやコミュニケーションのテーマだとすると、対話を減らすというのは選択肢としては良くない策だと思いました。
小仁:今のお話に少し加えますが、私は、研修は1日でもいいと思っています。ブレンディッド・ラーニングは、もともとは学校で使われていた用語ですが、そもそも同じ時間帯に全員が同じことをやらなければならないという発想ではありません。ですから特にアセスメント系の研修をやるときは、「いろいろな動画を用意していますので、みなさんのペースで考えて、この課題を今から時間内に自由にやって戻ってきてください」と伝えています。その時間を拘束しなければならない理由はないので、その2時間や3時間のあいだでグループの人たちに決めてもらい、ワークに取り組むということでもいいわけです。これはまだ模索中ですが、結構うまくいきますね。
久保田:集合研修では、1日集めてコントロールしているという感覚だったので、それを手放す怖さがありますし、それで本当にうまくいくのかという疑問もあります。しかしそういうところから変えていかないと、学びが効果的に促進されないのかもしれませんね。
小仁:「お腹を空かせる」と私はよく言いますが、相手が足りないと思うコンテンツを用意しておけば、あとは勝手にやってくれます。集合研修などの同じ時間を共有する場合は、「何が今の自分に足りていなくて、学ばなければならないことなのか」とお腹を空かせることに集中します。また録画した動画がUMU上に置いてあるので、好きなものを見てもらいます。そして見たものをお互いに共有します。自分が見られなかったものでも、人とそれを共有することで学ぶことができます。これはうまくいきました。やはりコンテンツが鍵ですね。それがあれば講師としてのファシリテーションの選択肢が増えます。
久保田:では次の質問です。
「ソフトやシステムの使い方を、お客様に学んでいただくプログラムを作った事例はありますか。こうしたものはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。内容次第だと思うので、例えばの話でいただけると幸いです。」とのことです。では辻川さんお願いします。
辻川:最近では弊社でセールスフォースなどのソフトウェアの使い方を作ったことがあります。スクリーンキャストで動画も録画して、声をあてるというものです。実はこれが一番作りやすいですし、見た目も追体験しやすいようなコンテンツに仕上げることが出来るので、動画コンテンツ化と非常に相性がいい分野だと思います。他の個人が学習するコンテンツを見ても、プログラミングやエクセルが人気だと思いますが、動画コンテンツ化するのにピッタリのテーマなので、ソフトやシステムの動画コンテンツ化はやるべきだと思いますし、簡単に作れます。
小仁:私はほとんどZoomで、例えば中途入社の方向けに何か入社時の学習事項を伝えるときは、画面の操作を動画に撮って流すだけです。目次を作ればいいだけですよね。注意点なども話すだけで入れられてしまうので、とてもやりやすかったと思います。つまりわざわざこのために頑張って作るというよりは、質問を受ける度に回すということが一番やっていたことだと思います。
久保田:期間がどれくらいかという質問ですが、その期間を割り出すというよりも、説明が繰り返しになりそうだし記録しておいた方がいいとなったら録画するという感じですね。
小仁:もちろんきちんと録画した方がいいものもありますが…。
久保田:どういう場面で使うかにもよりますが、社内で共有するくらいであれば、その場で録画をした方が早いですね。
小仁:私の場合は社内なので、販売するものになると変わってきますね。
辻川:そうですね。
久保田:それにしてもあまり期間のかかるものではないということですね。このような動画はYouTubeにも挙げられていたりしますよね。
辻川:ありますね。
久保田:そういうものも参考にしながら、ということですね。
■終了後コメント
久保田:これから皆さんがどのようなことを意識すればいいのか、今年もまだ状況の変化があると思いますが、状況に右往左往せずにオンラインでのラーニングを自分たちでデザインできるようになるために、最後にお二方からコメントをいただきたいと思います。
小仁:今日はありがとうございました。今年1年で感じることは、新型コロナの感染拡大は決して歓迎されるものではありませんし、それで傷ついている方もいらっしゃるので決して喜ばしいことではありませんが、今回はこれがきっかけで間違いなく学習の在り方が変わる大きなうねりが出てきたということです。
中でも大きな意味があったのは、テクノロジーがこれだけ身近に感じられるようになったことで、私たちの選択肢が増えたことです。選択肢が増えるとできることも変わりますし、できることが増えると描ける夢も変わります。選択肢が増えていることをいかに楽しみながら、そして活かしながら、というマインドを持つことが重要だと思います。正解がないので、そのマインドさえ持っていれば、私たちは新しい事例を生み出していけると思います。ぜひ未来を一緒に作っていけるといいなという思いで、本日は参加させていただきました。ありがとうございました。
辻川:今日はありがとうございました。小仁さんのお話にもありましたように、コロナの影響により背中を押されるような形で、一気にオンライン化を進めなければならない状況になったと感じています。誰も答えを持っていない中、コンテンツ化する部分と対面で残す部分を考えながら良いものを作りたいと思いますし、答えの無さを楽しみながら、学びに関わる方たちと一緒に取り組んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。
2020年11月13日