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【DXにおける組織と人材を問い直す】 ~先進事例から考えるDXに必要な人材の特質と組織戦略~(AFT2020 ReThink Day5)

DXにおける組織と人材を問い直す 
~先進事例から考えるDXに必要な人材の特質と組織戦略~

株式会社ブレインパッド
取締役 ビジネス統括本部長
関口 朋宏 氏

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登壇者のご紹介

関口 朋宏 氏 

株式会社ブレインパッド 取締役 ビジネス統括本部長
大手外資系コンサルティングファームに新卒で入社。戦略グループのシニアマネジャー等を経て、株式会社ブレインパッドに入社。データ分析を起点とした事業展開に経営陣として携わる傍ら、DX推進のアドバイザーとして、業界を問わずさまざまな企業を支援。

【株式会社ブレインパッド】
ブレインパッド社は、2004年の創業以来、データによるビジネス創造と経営改善に向き合ってきたリーディングカンパニーです。これらに関してお困りの際には、気軽にご相談ください。
ホームページ:https://www.brainpad.co.jp/

ReThink Day5 イベントレポート

HRDグループが毎年開催しております「Assessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。 

ReThink第5回目は、「DXにおける組織と人材を問い直す」というテーマで、株式会社ブレインパッドの関口朋宏さんにお話をうかがいます。ナビゲーターはHRDグループの韮原祐介が務めます。

技術を知っているかどうかよりも、ビジネスをきちんと理解した人材を登用

韮原:それでは、私から現状についてお話をしたいと思います。コンサルティング会社のマッキンゼーが、世界でデジタル化がどれだけ進んでいるかについて出した「デジタル革命の本質: 日本のリーダーへのメッセージ」(2020年9月)というレポートがあります。各国でコロナ感染が拡がった後にどれだけデジタル化が進んだのかについての調べによると、オンラインストリーミングなどエンターテイメント、仕事のための会議などのコミュニケーションを中心にデジタル化が進んでいます。特にアメリカやインドにおけるデジタルサービス活用がコロナによって激変した様子が出ているのですが、日本はあまり進んでいない、という調査結果が出ています。

コロナ以後において、各国で一番利用が増したのは、オンラインストリーミングサービスの利用です。アメリカやインドで40%以上、イギリス、ドイツでも30%以上増加していますが、日本では20%未満。飲食店の宅配サービス、仕事のためのビデオ会議なども、日本以外の各国で20~40%ぐらいの増加が見て取れますが、日本ではなんと10%未満の増加です。

調査の母集団についての疑義を投げかけたくもなりますし、マッキンゼーがこれを使ってビジネスをやろうしている背景を差し引いても、各国比較で日本は遅れているということになっています。

そして、デジタル変革に関する調査もあます。デジタル変革は、通常の変革よりも難しく、成功したケースは16%しか存在しないと報告されています。特に製造やエネルギー、インフラ、や製薬などのトラディショナルな業界においては、成功率は4~11%に留まるそうです。残りの9割近くは、デジタル変革にトライしたけれども上手くいかなかったということになります。

グローバル企業の経営者にインタビューをしてみたところ、人材や組織面に問題意識を持っているということです。「シニアマネジメントのフォーカスと文化」「デジタル・テクノロジーへの理解不足」「人材の欠如」「組織」の問題と、失敗の要因が続いています。「ITインフラの欠如」や「デジタルと従来の対立」「データの欠如」という項目ではなく、やはり問題意識のトップに上がっているのは、人材や組織に関する部分です。本日は、この部分を問いて解いていきたいと考えています。

では関口さん、そもそもDXとは何かということから教えてください。また、進めていくうえで人材と組織の課題が大きいという声が挙がっていますが、実際に各企業で推進していくにあたりどのように感じていらっしゃるでしょうか。

関口:改めまして、ブレインパッドの関口と申します。よろしくお願いいたします。先ほどのマッキンゼーのレポートは、結構悲しいですね。こんなにオンラインも使っていてスマートフォンも使っている、Amazonや楽天などを使う人もたくさんいるにも関わらず、レポートではあんなに低いというのはどういうことなのでしょうか。

また、先ほどありました人材の話も、経営陣の課題となることが多いですね。トップのコミットメントが不足していると言いますが、先ほどのレポート結果で面白いと思ったのは、「シニアマネジメントのサポートの欠如」ではないとありますがフォーカスはしていないという点です。

私たちはブレインパッドでデータ分析をテコにしていろいろとやっていますが、その現場で見ているものをお話ししたいと思います。

デジタルトランスフォーメーション=DXとなりますが、トランスフォーメーションだということが今回の大きなテーマだと思います。

私たちは半年前、300名以上の方々を対象に、「5つあるDXのうちどれを実施しているか。またそれは成功しているか」という調査をしました。3割以上の方が何かしら行っていて、オペレーションのデジタル化など足元から始めていくものは成功していますが、新規ビジネスを作ったり今のビジネスを変えていったりとなると、成功確率は低くなっているという結果がでています。この調査はコロナ前に行いましたが、コロナ後に聞くと「リモートワークの環境を導入している」という回答がほとんどでした。

資料 DXアンケート結果 何に取り組んでいますか? 出典:株式会社ブレインパッド
出典:株式会社ブレインパッド

私はブレインパッドで全社の営業統括をしていますが、オンラインで何かをすることが当たり前になっている中で、オンライン営業で苦戦している営業パーソンがたくさん増えたという悩みがあります。みなさん難しいとおっしゃいますがそれはなぜかと今考えていまして、オンラインと対面にはメリットとデメリットがあるので、それをきちんと理解した方がいいと思っています。対面は、相手の表情なども含めて圧倒的に情報量が多いですよね。分からなかったときでもインタラクティブにいけるので、行間も埋まっていきます。しかし、オンラインはアポイントが取りやすく回数をこなせる反面、1回の密度がとても薄いのが難しいと感じます。オンラインは、手元にカンペを置いていても相手にはバレませんが、対面ではバレてしまうので手元には置けません。その辺りの違いは面白いと思います。

皆さんがご存知か分かりませんが、『チャレンジャー・セールス・モデル』という本があります。営業パフォーマーにはいろいろなタイプがあり、チャレンジャーセールスを目指そうという本です。その本の中に、営業ハイパフォーマーの構成比がでてきます。

5種類の定義がされていて、勤勉な“ハードワーカー”や関係性で戦っていく“リレーションシップビルダー”、一匹狼で動いていく“ローンウルフ”、お客さんから言われたことを愚直に答えていく“リアクティブ・プロブレムソルバー”、お客さんの気づいていない課題に対して自分の展開でどんどん仕込んでいき、とにかくお客さんのビジネスに対して課題提起をしていく“チャレンジャー”とあります。この本の中ではどんな環境でもチャレンジャーが強いと言われていますが、オンラインになって辛いのはリレーションシップビルダーで、ハイパフォーマーの20%がそういう人だとすると、確実に20%の人は苦戦しているということになります。

資料 肺パフォーマーの20%は苦戦している(はず)出典:株式会社ブレインパッド
出典:株式会社ブレインパッド

これは海外の調査ですが、日本に置き換えると関係構築型が非常に多いと思います。

とくに日本は、あらゆる業界№1の人が「うちは営業力で勝っている」と言いますので、20%では済まないかもしれません。一方で、これからはリレーションシップ型の営業を採用するのはダメだとして、チャレンジャーなど攻めていくタイプの人を採用していきたいと考えましたが、どう見抜けばいいのかが分かりません。コロナ禍前の営業についてどうだったかを履歴書に書かれても、例えば、ウェットな営業をしていたら今の時代ではダメなので当てになりません。営業スタイルを見抜こうと思ったときに、ロールプレイをするわけにもいかないので、見抜くためには上級テクニックが必要です。そうすると、今後オンラインが主体となってくる中で、人材アセスメントの重要性はとても高まります。

韮原:見えないものを測りたいときに、やはりアセスメントは重要だと思いますね。

関口:次世代の営業マネージャーをどのように選べばいいのか?ですが、最初にPXTを紹介していただいたとき、確か事例が営業だったと思いますが、その時代、時代によってハイパフォーマーの定義とは変わるので、今までのハイパフォーマーと言われていた人とは違う人を選んで、新しいハイパフォーマーのモデルを作る必要があるということが説明されました。まさに今はそのハイパフォーマーをどうやって選ぶのかも悩みのひとつです。この悩みは日本中で起きていると思うので、パートナーの皆さんは攻めどころだと思います。

韮原:先ほどのデータの話に戻りますが、デジタルトランスフォーメーションを進めるときの人材不足もあると思います。その点は、ブレインパッドとして外からサポートするときに、そもそも社内の人材で外部リソースを使いこなして旗を振る人は必要で、変化をイネーブルする人も必要だと思います。そういう人の選出も課題だと思いますが、いかがでしょうか。

関口:確かに、誰がやるのかというのは大きな課題です。IT部門というのは、技術が分かっているのでデジタルに向いているというやり方で人を選んでいるところが多いですが、ビジネスを変えなければならないという話なので、技術を知っているかどうかよりも、ビジネスをきちんと理解していて、また現場の苦労も理解している人を選ぶ方がいいです。しかし、経営陣は技術のことは分からないから分かる人に任せようとして、それで失敗していることがよくあります。

韮原:なるほど。本日はDay5ですが、Day1でライズ・コンサルティング・グループの佐藤さんにお話を伺いました。withコロナ、afterコロナでどのような人材が必要かという話で、佐藤さんがおっしゃるには、社内のイノベーション人材と事業をまわすオペレーション人材、そして今は、たくさん起きている変化の中でみなさんに寄り添うメンテナンス人材というものが必要だというお話をされていました。

これから必要な人材はイノベーション人材、オペレーション人材、メンテナンス人材の3種類です。佐藤さんがおっしゃっていてごもっともだと思うのは、戦略は、デジタル戦略やコーポレートトランスフォーメーション戦略などいろいろとあり、そこから組織の機能設計に落としていき、人材要件をプロファイルのようなことをして見極めて、配置し育成して評価となります。この資料にあるように、上から下が断絶していて、中期計画でデジタルトランスフォーメーションと言っていても人材については相変わらず以前と同じ管理職研修を行っています。これは御覧になっている皆さんにもかなりのチャンスで、戦略を育成や評価制度まで落とし込むというのは重要なポイントです。これを佐藤さんからお話しいただいたときに、「昔この話をしていたな」と思い出しました。

これは、先ほど触れた2012年3月の公開セミナー資料で関口さんと2人で作ったものですが、当時の経営的な文脈で言いますと、グローバル化を進めていかなくてはならないときで、且つGoogleやFacebookなどのGAFAが台頭しはじめた頃です。グローバル化とアフターインターネットの時代で、AIはまだありませんでした。当時言っていたことは、高度成長してきたころの人材と、成熟期あるいは成熟停滞期の人材はやはり違っていて、オペレーション的に回す人と、会社を変革し新市場を作っていく、グローバルに打って出ていくという人は、違うタイプの人だということです。そのときに、イノベーション人材とオペレーション人材と資料に書くと、上司に「横文字は使うな」と言われ、開拓・変革人材と書き直しました。

2012年3月のセミナー資料 出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より
出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より

そして成果創出人材とあるのは、既存ビジネスの中で確実に成果を上げていく人で、先人たちが作り上げた勝ちパターンを維持・改善していくような、いわゆるビジネスを回していくオペレーション人材のことです。今ではそこにプラスしてメンテナンス人材が入ります。8年前も、変革人材、イノベーション人材は枯渇状態で、人材供給の仕組みが極めて脆弱なため仕組みを作っていく必要性を訴えていました。これは今も同じでしょうか。

関口:デジャヴでしょうか、ずっとこの話をしているな、となりますね。そういう意味では、今も同じだと思います。

このときに話したのは、日本企業がグローバルで地位があったということですよね。ある意味伸び切った状態でさらに上に行くにはどうすればいいのかという話で、さらなる成長をするためには伸びきった状態の人をハイパフォーマーと設定しても間違ってしまう、ということだったと記憶しています。

韮原:そうですね。あとはリーマンショック後で回復しきっていないので、回復するためには何が必要かというときに、新規事業やグローバルの新市場が重要だという文脈もあったと記憶しています。例えば、アジアは工場だけだったけれども、そこが成長市場として重要度が増した、というような話でしたね。

関口:当時のリーマンショックが今のコロナ、グローバリゼーションがデジタライゼーションに変わっているだけで、確かに同じことを言っていますね。

今は、イノベーション人材や新しいことを仕掛けて変えていく人がいないと言っていて、これについてはアベノミクスの影響が大きいと思っています。業界トップの人の中には、「15年以上良い時代を過ごしている」とおっしゃる方もいますが、15~20年ほど良い時代を過ごしてしまったので、変える必要性を感じなかったという点で同じですね。

デジタル化を推進していくためには、外部からの採用が必須

韮原:では、アフターリーマンショックとは違う文脈で今について考えますと、やはりデジタル化の人材についての話になります。それについては、私も機械学習に関連する本を書いています。

機械学習やディープラーニングを始めたのは2015年頃ですが、東大の松尾先生の本が出たのが2014年でした。「人工知能は人間を超えるか」という本ですが、それが何十万部と売れて、松尾先生がエバンジェリストとして日本の成長戦略立案にも関わっていらっしゃるようです。当時は先端IT人材の人手不足でしたが、それは今も続いています。私は、当時考えていた人材と、今本当に現場で必要な人材というのは変わってきているという印象を持っています。

この資料に書いたのは、変革・イノベーション人材のレベル分けです。横綱級・大関級・小結級とありますが、結論を言いますと要は小結級がいればいいということです。

資料 イノベーション人材のレベル分け 出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より
出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より

内容は、まずビジネス系とテクノロジー&サイエンス系で分けています。横綱級の人は世界に何人かしかおらず、グローバルスケールで産業全体の構造を変えるディスラプター人材です。日本としては、このような人材を生み出せていないという課題があるものの、各企業においては、例えば「マーク・ザッカーバーグはうちの会社にはいりません」ということだと思いますし、仮にいたとしても扱えません。その下の大関級は、個別の産業の中でディスラプションを起こせて、且つ国内が中心という意味だと、ユニクロの柳井さんや楽天の三木谷さんなどが大関級です。グローバルでの圧倒的な横綱ではないけれども、グローバルに十分通用する大関くらいに位置しています。失礼な話ですが、私はこのような見方をしています。

では、会社の中で必要な人というのはどれくらいの人かというと、もう少し下のレベルで、若者でも十分です。各社内で構造変革を起こす人材で、すでにDXが成功している会社の中には1~3人はいると思います。アセスメントで見分ければ、素質を見つけることはできます。

国の議論などでよく言われているのは、横綱級や大関級の人材ですが、実際に各企業の現場は小結が欲しくて、小結にチャンスを与えることが大事になってきます。または、十両級の人たちを小結まで引き上げることが重要だと私自身は思っています。これはビジネス系の話ですね。

そしてテクノロジー&サイエンス系での横綱級というのは、ニュートンやアインシュタインなどの時代を変える要素技術を作れる、理論を創造できる人材です。アインシュタインの相対性理論がなければ、GPSがズレてしまいます。衛星は地球より重力が軽いので時間の進みが少し速く、相対性理論を使わないとGPSは100m単位でズレますが、相対性理論のキャリプレーションでなんとか10m単位の精度を実現しています。これは時代を支える技術ですが、アインシュタインの理論を使ってGPSを作るのは、その下の大関級の方々だと思います。テクノロジー&サイエンス系の大関級と言いますと、時代を変えるというほどではありませんが、産業イノベーションの要素技術を作っている方々で、ディープラーニングを作ったとされているジェフリー・ヒントンや、パナソニックで手振れ補正を作った大嶋光昭さんです。5Gの低遅延というのも90年代に大嶋さんが作った技術です。大嶋さんはパナソニックで営業利益を何千億円分、売上は何兆円分となる商品の要素技術を作ってきている方です。そういう人も日本企業に欲しいけれども、個々の会社のトランスフォーメーションをしましょう、デジタル化をしていきましょうという意味だと、もう少し下の小結級の方で十分です。今ある要素技術を使いこなすことができればよいのです。国内のテック企業の中にはそういう人がいますが、多くの大手や伝統企業では、IT関連は外部のSIerに丸投げ状態のため、社内に小結級の方があまりいないのが問題です。デジタル化を推進していくためには、外部からの採用が必須だと思います。

関口さんいかがでしょうか。

関口:本当にその通りだと思います。ユニクロを作ろう、楽天を作ろうということで言いますと、完全に彼らはアントレプレナーなので会社にいても扱えませんよね。それなりに大きな会社だと事業だけで何千億と持っていて、働いている方々も何千人といる中で、そんな人がポンと入っても機能しないと思います。デジタルを使ってビジネスを変えることもいいですが、もっと地道なことをお客さん目線で変えていくか、どうしたらいいのかをつぶさに見ていく地道な観察、そういうところからスタートできる人が必要です。いきなりイノベーティブに真逆の発想でやるのでは、ついて来られません。やはり小結級のレベル感だと思います。

韮原:世界では小結級でも、会社の中では横綱ですよね。

先ほど申し上げた2015~2018年頃の政府検討会に出てきたIT人材も、結構変わってきています。ディープラーニングを生み出したと言われているジェフリー・ヒントンさんが、「深層畳み込みニューラルネットワーク」という手法で、2012年にイメージネットという何億枚の画像を判定する国際コンペティションでとても精度が上がったというのが、松尾先生が本を書くきっかけになった出来事ですが、これは間違いなくイノベーションです。その前の1979年に、ヒントンさんがヒントにしている福島邦彦さんの「ネオコグニトロン」というアルゴリズムから33年を経てようやく出てきました。この過程には、計算力のスピードが圧倒的に速くなったこととデータ量が増えたという背景があります。

先ほどヒントンさんを大関級と言いましたが、前回のAIブームが去った後もずっといろいろな大学を渡り歩いて研究を続けてきた人、いわゆるグリットが高い人が今になってようやくこのブームを作っています。それがすごい技術だと思っているからこそ、社内にも同じようなすごい人材が必要だというトーンになっていて、続いてAlphaGoが勝ったということがありまして、そういう人たちがいないといけないような気がしていたのが、人材不足について国で語られる議論です。実際はその後2017年頃から、GAFAMが自身の持っている技術を民主化していき、普通の人たちも使えるようにするという戦略転換があり、クラウドでそれをやっていこうとなり、今は普通のエンジニアが使える技術になっています。

資料 ディープラーニングを用いたイノベーション 出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より
出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より

結局、今社内で言われるAI人材も、情報工学やAI専攻である必要は全く無く、本や既存事例などを元に、どのようなテクノロジースタックかというのはオープンソースな世の中なのでいくらでも外にあります。結局、今のエンジニアはヒントン、ハサビス級のものを生み出すというよりは、編集や切り取りでうまい具合に社内で使っていくというキュレーション能力が必要だと思います。GAFAM技術を作り出すことは日本産業的には非常に重要ですが、社内的にはGAFAM技術のエンドユーザーで十分です。GAFAM技術をオープンソース化し、民主化していったことが大きいと思っています。

こういう話をしているのは私だけだと思いますが、最前線を見ているとどう考えてもエンドユーザーで十分です。国の検討会などで、各企業がどのよう人を生み出すかということについて話している内容は、あまり参考にならないと感じています。本日聞いていただいているコーチの方々が、「あなたもできますよ」という後押しをしていただければ、小結になれる人材は多いと思います。だからこそエグゼクティブコーチ、ライフコーチ、プロフェッショナルコーチと言われるような方々が重要で技術の現場にもコーチの存在が重要になってきていると思っています。

関口:別の言葉で例えると、シェフがいるという感覚を持っています。つまり、シェフは美味しい野菜や牛肉を育てる必要はありませんよね。美味しい食材は揃っています。あとはみなさんのビジネスのフィールドにおいて、何があったら嬉しいのかということを考えながら、良いメニューを作っていきます。ある意味シェフはユーザーサイドの部分もあると思いますが、そういう人材の方が重要だと思います。

実際にはいろいろなコードが世の中に落ちていて、それを引っ張ってきて作っていますし、アプリケーションも世の中にたくさんありますが、その裏のコードはコピペで作っているものもたくさんあると思います。実際に今出来上がっているもの自体が、エンジニアが0ベースで作っているものではなくて、コピペで作っているものです。カッコよく言いますとキュレーション能力、カッコ悪く言いますとコピペ力が重要です。その技術を作るために一企業が頑張っても、GAFAMが何兆円と投資して作ったものに勝てるわけがありませんから、そこで無理をする必要はないと思います。

韮原:質問がきています。「小結×テクノロジー&サイエンス系で、外部採用する際の人材要件で外せないものはなんでしょうか」とのことです。

関口 朋宏 氏 
株式会社ブレインパッド 取締役 ビジネス統括本部長

関口:これは悩ましいと思っていますが、大手の金融機関と話したときに、僕たちはエンジニアを企業で内製してほしいと考えているので、「採用して内製しないのですか」と聞くと、「良い人は来るのですが、その人たちはすでに辞めてしまった」ということでした。良いスキルを持った人でも、彼らのモチベーションを上げる仕事環境でないと辞めてしまう、環境が退職の大きな要因のひとつになると思います。しかし、本当に環境のせいだけで辞めてしまうのかという見方もありまして、自分の好きなことを自分の腕を使ってやりたいというタイプの人は、企業に必要なのかという疑問もあります。ある程度の組織への従順性や、組織の中で活躍することでモチベートされるようなタイプのエンジニアを選んでいるのでしょうか。単純に腕利きのエンジニアを選んできているのであれば、彼らはフリーランスの方が幸せだと思うので、人材要件をミスしていると思います。だから、一定レベルの組織への従順性や、チームで価値を作り出すことに喜びを感じる人たちを大事にした方がいいと思います。

韮原:確かに、尖っている人材の尖り度は、PXTで言うところの“組織従順性”が低い、“独立性”が高く“決断性”が高いというところは、間違いなく表現され得ます。実際にDXを成功させている方々にPXTを受けていただくと、プロファイリングはだいたい決まっています。様々な他業界のネットワークの中から情報を仕入れることや良いベンダーを見つけてくることが得意なので、そういう意味での“社交性”はやや高めです。そして“決断性”や“独立性”も高く、“判断の客観性”は中央寄りで、ある程度ファクトも重視しますが直観もある程度重視して突き進めるタイプです。外部からクライアントのDXを支援するという会社においては、判断の客観性が高い方がパフォーマンスが出ます。直観的なものをお客さんに提案しても、それが上手く刺さらないところがあるので、そういう人材だということがだんだんに見えてきています。このように帰納的に見ていましたが、やっていくうちに「こういう人材はこういう人だろう」とわかるところがPXTの魅力でもあると思います。

頂いた質問からは脱線してしまいますが、このような人の見方というのは、今関口さんが提案していらっしゃるような、会社の内製をした方がいいけれどもやり方が分からないという方には、スキルのみならずビジョンに共感するカルチャーフィットは重要で、それはPXTで測ることができます。

関口:“組織従順性”や、おそらく社交性の部分だと思います。いろいろな人を繋げて成り立つのが今のビジネスだと思いますし、餅は餅屋でどうチーミングしてやるかなので、ネットワーク力というのは非常に重要だと思います。企業人として成功してもらうためには、社交性は外せないと思います。しかし、腕利きのエンジニアほどそれが低い可能性があり、彼らはその素養までを見て採用されていないので、そこは変えた方がいいですね。

韮原:とりあえずスキルフィットする人を見つけるのが大変で、カルチャーフィットまで見ている余裕はないというところが多いと思います。

もう1つ質問が来ています。
「関口さんが話された関係構築型のハイパフォーマーは、コロナ禍ではどうすればいいのでしょうか」という質問です。

関口:こちらが教えてほしいくらいです。動き方を変えなければならないのは仕方がないですよね。彼らの得意技ができないけれども、だからといって活躍できないからその人を切るというわけにもいきません。対策としては、例えば前準備をたくさんさせるということを始めました。ミーティングで頂いている時間をどのように過ごすかということは、リレーションシップビルダーの人たちは全く考えずに臨みます。「そもそもこの会議は、何が目的で何がオチでどうなるのがお互いにハッピーなのか」ということを、探りながら良しなに落としていくのが彼らのやり方です。今はそれを最初に決めるということをやっています。例えば、本日のこの会議であれば「何が目的で何がオチで、最後は誰にどのようなセリフを言ってもらえるのがベストなのか」ということを、始まる前に決めるのです。カンペが見られるという話もしましたが、「今日の会議はこれで終わらなければならない」と書いたカンペを画面の下にこっそりと置いて見ながら話すことができるので、そういうことを始めることがスタートだと思います。

しかし本質的に言いますと、私たちはまだ若い会社だからいいですが、年齢が50歳ほどの30年近く叩き上げできた方にそれができるのかというのは、反対にコーチの方々に聞きたいところですね。

韮原:私は、人はいつでも変われると思っていまして、重要なのはマインドセットだと思います。マインドセットを変えるような刺激が必要で、コーチの方に手伝ってもらいゴール設定をしてマインドセットが改まれば、「こういうスキルを身につけなければならない」と自分を変えられると思います。

本日聞いていらっしゃるトレーナーやコーチ、コンサルタントの方々というのは、ますます重要になってきます。先ほどのマッキンゼーの話もそうですが、DXやデジタルと言っても結局は組織であり人材の話だということはみんなが考えていることなので、そこにアドレスできるサービスはとてもニーズがあると思います。

関口:本当にその通りで、何十年も同じことを繰り返していると思います。変換期に来た時には、いつも人の問題が出てきます。しかし、必要とされている人材はいつの時代も変わりません。イノベーション人材や変革をしかける人材、小結級の人材を高効率で輩出し続ける仕組みを作っていかなければ、おそらくまた10年、20年後に同じような話をしているはずです。

アセスメントのお話もたくさん出ていますが、ファクトに基づくというのは、人の話は難しかったのでこれまではできなかったということがあると思っています。しかし今は、office365のデータを使ってどのように仕事をしているのかデータが取れる時代になってきました。Zoomの録画で営業を振り返ることもできます。データやテクノロジーを使い、レビューしてフィードバックをまわすということがしやすくなった時代なので、それを上手く使ってやっていけば、今までできなかったこともできるようになると期待しています。そこでまた人材育成のイノベーションが起きればいいですね。

コツコツと常に変えていくというカルチャーを作る

韮原:関口さんにご用意頂いた資料がまだあるので、そちらをご紹介ください。

関口:先ほどと同じような話になりますが、弊社でとったアンケートの真ん中の段に、既存のビジネスを変えていく取り組みについて記載されています。取り組んでいる人も少ないですが、成功率が低く既存ビジネスの変革が苦手という結果がでています。

資料 アンケート結果:何に取り組んでいますか? 出典:株式会社ブレインパッド
出典:株式会社ブレインパッド

日本の職種においてトランスフォーメーションの課題が非常に多いと思っています。いろいろなデータ活用などをやっていくと、アジャイルなどの言葉が先走ったので、とにかくやってみようとなりますが、「何がしたい」から始まって結果が出ても、「何がやりたかったのか」「何のためにやったのか」が意外と決まっていなくて頓挫するケースがあります。また、誰にやらせるかも大事な問題で、苦手なので手を出す人がいなかったり、上手くいきそうになるとその成果を取りに来る人がいたりと、人の問題は厄介です。

そしてこれはお伝えしたいことですが、最近経営陣の方々とお話しさせていただく中で本音だと思ったのは、「この過渡期にあぐらをかいてはならない」ということです。

例えば、飲食や旅行も今はGoToの効果である程度は何とかなっています。しかし、いつかは終わります。終わったときに本当にキツイ状況になるので、今のコロナ禍のうちにコスト構造や生産性を劇的に変えておかなければいけないが、それには正直時間がないと思っている、というのは経営陣の本音だと思います。

どうしてもDXというと0→1の人材が欲しいので新規事業のことを言いますが、新規事業の成功確率は低く、それで既存ビジネスをひっくり返すようなものを作れるかというと、そういうわけにもいきません。だから、既存ビジネスをいじりに行く優先度が圧倒的に高くなります。

新しいことをやることが大事となっていることと、本当に経営陣が思っていることのギャップがあると思います。そうすると先ほどの話に戻りますが、やはり欲しい人材は、0→1よりも10→100の事業の変革をする人間です。

資料 いま必要なのは変革人材 イノベーション人材 出典:株式会社ブレインパッド
出典:株式会社ブレインパッド

Center of Excellenceという言葉がエグゼクティブの集まりで聞かれますが、出来る人にやらせるということです。日本は、すぐに組織を作ってハコを作り、そのハコの中の人がミッションをやるとなっていますが、中には不得意な人もいます。よくお客さんの中にも「全然わからない」と言う人がいますが、なぜそんな人を選んだのかと思いますよね。もっとできる人はいるはずなので、まずはそれをやめたほうがいいと思います。

できる人がやることが勝ちパターンだとしたときに、例えばできる人が世界中に点在しているときはチーミングをした方がいいです。先日資生堂さんの話を聞きましたが、デジタル化の推進チームはアメリカが進んでいるからニューヨークに置くと日本のヘッドクォーターが決めたそうです。できる人にどうやらせるかという組織づくり、会社づくりというのは、チャレンジだと思いました。

韮原:今のお話を聞いていて、また昔の資料を思い出しました。先ほどの人材の話ですが、ほとんどがオペレーション人材でイノベーション人材はごくわずかです。日本企業がミスしているのは、普通のオペレーション人材を既存事業で優秀だからという理由で、新規事業やデジタル系のところに配置していることです。そして開拓・変革人材を中で埋もれさせてしまっている、ということを8年前当時も言っていて、人材配置のミスマッチというのは今もあることだと思います。

資質や知識・スキルのポートフォリオで見たときに資質がある人を見出すことが重要だということも、当時から言っています。加えてそこに修羅場経験のようなものを積んでいくので、小結級、社内横綱が生まれます。

2012年3月のセミナー資料 出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より
出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より

プロファイルズ社やパートナー企業でも、このような可視化の仕方というのはここ数年で定着しています。2012年当時はあまり受け入れられませんでしたが、やはりデータを可視化するということが全産業的に根付いてきて、人材についても、それこそ8年前に話したことはどんどんリアライズしています。

関口:今年は、修羅場という言葉をよく使いました。どのような修羅場経験を与える育成プログラムや育成パスを描くか、何をもって修羅場とするのかという定義が難しかったと思います。人材ポートフォリオは、人事のデータや評価データ、教育データをいくらひっくり返しても書けない、ということに早く気付いてほしいですね。

HRDグループ 韮原祐介

韮原:AI企業と謳っている某SIerさんの人事DXについて、役員に話をしに行ってくれないかと言われましたが、まさに勤怠データや採用時のデータをひっくり返してAIを使えば何とかなるという考えで進んでいると聞きました。しかしそれでは絶対に失敗するので、むしろアセスメントや毎月1on1をやってその結果をログしていく方がよっぽど退職の引き止めにもなり、新しいデータを取らなければどうしようもない、ということを紙に書いて持って行こうとしたら、「これは役員には持って行けない」と言われてしまいました。やはり旗を振り始めてしまうと顔に泥を塗れないということになり、まだ何も始まっていないのに数年後には厳しいと見えている取り組みを大手のAI企業が何億円もかけてやっています。アセスメントで新しいデータを取ることや、エクセルで1on1のデータを取っていき、「今月は晴れ・くもり・雨の中でどういう気分だったか」というデータを集めて、晴ればかりの組織なのかくもりがちなのかというように、対話をもっとしましょう、記録を残しましょう、ということです。

先ほどのリレーションシップビルダーの教育についても、とてもトラディショナルな営業教育です。私たちもそうですし、聞いていらっしゃる方々が持っているコンテンツを今風にカスタマイズすれば、十分に通用するものがたくさんあると思いました。

関口:人事データのように年間の目標設定をして、年に一度や二度フィードバックをするデータというのは、バイアスがかかり過ぎているので、地味にファクトを積み上げていきそれを使うことが大事だと思います。人事のデータは主観性が高すぎて人によって物差しがバラバラですが、アセスメントは物差しができているので客観性がとても高いです。

韮原:PXTの話がメインになってしまいましたが、やはり変革をする組織を作ったりし、あるいは組織改編をしていく中でのチームビルディングの中にDiSCを盛り込んだりすることも効果的です。関口さんのブレインパッドでも、新しく機能変更したマーケティング本部の中でDiSCを使っていただき、こういう性格だったのかとお互いに知り、チームのパフォーマンスが伸びていくということは、経験してらっしゃると思います。

【DiSC】 心理学者ウィリアム・M・マーストン博士により提唱されたDISC理論をベースに、1970年代に開発された自己分析ツール。職場で人がどのように自分を認識しどのように行動するかを「D主導」「i感化」「S安定」「C慎重」の4つの行動特性で測定する。著作権はWiley社所有。

【ProfileXT】 
人材が組織内の特定の職務にどれだけ効果的にフィットするかを測定するアセスメント。採用、選抜、育成、マネジメント、戦略的な人員配置に活用できる。著作権はWiley社所有。

では、最後にメッセージをお願いします。

関口:DXでブームになりがちですが、コツコツと常に変えていくというカルチャーを作るだけだと思います。今はそれを怠ったので一気に外科手術をしなければならないという状態で、毎日セルフメンテナンスやセルフケアをすることを、企業の中に植え付けていかなければなりません。だからコーチの皆さんの役割はとても重要で、常に変革できる人材を1人でも2人でも出し続けるスキームづくりというのが、本当はDXを動かしていく本質だと思います。また何年か後には、おそらく日本に「なんとかトランスフォーメーション」がくるでしょう。そのときに備えて今やっておきましょう、ということだと思います。

韮原:ありがとうございました。

イベント後のコメント

韮原:本日はありがとうございました。いかがでしたか。

関口:懐かしいなと思ったことがあった一方で、日本企業はこの課題が苦手で、結局10年も同じことをやっている、変えていく人材を作っていくことが企業体質として苦手な文化であると感じました。外の人間がやるだけではダメで、中の人間が自律的に変わることが大事だと改めて思いました。

デジタルトランスフォーメーションですが、人材マネジメントもデジタルトランスフォーメーションしたいですよね。そういう意味では、アセスメントの話もできて、もっと使っていきたいと思いました。データが取りやすい時代になりファクトが取りやすいので、やはり人材マネジメントがより科学的にサイエンスティックに進化していくというのは、もっと進んだらいいなと思います。そこは皆さんのお力を期待しております。

韮原:なるほど。何か話し足りないことはありますか。

関口:久しぶりに楽しませていただきました。私も、今はビジネスの現場で営業チームやコンサルタントチームを抱えていて、人事のコンサルティングをやっていない立場になり改めて思うことは、人材マネジメントは本当に難しいということです。良い人は世の中にたくさんいるでしょうが、今いる人材をどう活かすのか、スピーディーに変化している中でも活かし続けなければならないというのは大事だと思います。人の変化をどう促すかというのは本当に難しいことですが、難しいというのはできないという意味ではなく、やり方が分からないだけです。だからこそコーチの存在の重要性は増していると思います。皆さん本当に困っていると思いますので、私が事業会社にきて分かったことや苦しみを皆さんにお伝えする機会がありましたら、またお伝えしたいと思います。

韮原:やはり日本企業の全体で起きている変化というのは、みんなに同一に来ているので、上司が部下に「やっておけ」と指示をするよりも、上司自身がその変化に対応して新しいチャレンジをしていかなければならなくて、チャレンジしている背中を部下に見せていかないと組織は動かないと思います。しかし、今まで通りの「デジタル化をやりたまえ」「AIをやりたまえ」という指示だと、動かないだろうと思います。

成功している会社のデジタルトランスフォーメーションを手伝ったときに、それをオーダーしたトップはDX以外にもプロジェクトを持っていて、全部でチャレンジをしていて、その弾の1つがDXという感じでした。やはりお手本を示すといいますか、そういうことを経団連規模の大経営者たちがやっていく必要があると思います。

関口:まだ小さい会社ですが私も経営者という立場になり、どういう姿を見せるかが大事だと思っています。一番重要なことは、知らないことを素直に知らないと言えることです。そして、分からないけれども必要性があるからやってみる、このステップをカッコつけずにやることだと思います。いろいろな経営者の方と話すと、実は知識がなくて何のことを言っているのか分からないということがあります。しかし、恥ずかしくて分からないことを聞けません。今さら聞けないシリーズのようなものを、分かっていない経営者だけに教えてほしいというニーズはおそらくあると思います。

韮原:それはパンツを脱ぎましょう(笑)という話で、Googleのエリック・シュミットが数年前に退任しましたが、最後の頃には彼は、社内で「今のテクノロジーはもう分からない」と言っていたそうです。Googleの会長が、「今のテックは分からない」と恥ずかしげもなく言えることが大事だと思います。みんなパンツを脱ぎましょうという話ですね(笑)。

関口:本当にそうだと思っていて、どんどん恥ずかしくなって脱げなくなってしまいますよね。今だったら脱げるのに、あと1年経つと本当に脱げなくなる、だから早めに脱ぎましょうという話です。

韮原:そうですね(笑)。ありがとうございました。

2020年11月27日

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