「働きがい」が本当に「ビジネスの成功」に繋がるのかを考える
- 経営と人事は、どうやって社員一人一人にとっての ベストカンパニーをつくるのか -
アッヴィ合同会社
人事本部本部長 一柳 達也氏
登壇者のご紹介
ゲストスピーカー
アッヴィ合同会社 人事本部本部長
一柳 達也氏
Ichiyanagi Tatsuya
慶應義塾大学卒業後、2000年りそな銀行入行。2003年ブリストル・マイヤーズ スクイブに入社、現場の営業MRを経て人事に異動し、ペイロール、報酬企画、研究開発部門担当のHRBP、タレントアクイジション(採用)、事業部門担当のHRBPを経験。2014年からフェリング・ファーマ人事部長。2017年にアッヴィに入社して現職。「日本社会のすべてのビジネスパーソンが、my journey, my choiceを実現できる環境を作る」を人生のミッションとする。
モデレーター
HRDグループHRD株式会社 執行役員シニアコンサルタント
久保田 智行
Kubota Tomoyuki
京都大学大学院修士課程にて社会心理や労働意識について研究したのち、大手人材事業会社で、セールス、広報、人事などを幅広く担当。2007年にHRD株式会社に参画。組織・人材開発のコンサルタントとして、チーム形成やマネジメント力の強化、セールス力向上などのテーマで、経営・事業リーダー、人事部門を支援している。現在は、DiSCアセスメント事業の責任者として、最新の日本語版アセスメント開発とその普及を推進。アセスメントを活用した実践的な心理的安全性向上プログラムを開発するなど、現場の課題に応じたソリューション提供を得意としている。
「社内で色々な取り組みを行なっているのにも関わらず、社員のエンゲージメント向上に繋がらない」という声は、人事の現場において、非常に多く聞かれます。中には、社員エンゲージメントの向上施策に取り組んでいるにも関わらず「働きがいの押しつけ」などと思われてしまうことも。
社員の働きがいを高めることは、ビジネスの成功に繋がります。しかし、社員の働きがいとビジネスの成功が結びつくことが確信できずに、自信を持って人材への投資ができていないという企業が多いのが実情ではないでしょうか。
当セッションでは、世界の医薬品売り上げ第3位の製薬会社であるアッヴィ合同会社の人事本部本部長 一柳達也氏をお招きし、「働きがい」と「ビジネスの成功」の繋がりについてお話いただきました。
ビジネスの成功ために経営と人事ができることは、社員に動機を与えることだけ
一柳氏は、ビジネスを成功させるための、以下3つの原則をあげています。
1.ビジネスの成功とは、顧客の行動を導くこと
2.顧客の行動には、必ず動機があること
3.会社は、動機を与えることしかできない
ビジネスの成功とは、顧客の行動(商品やサービスを買う)を導くことです。顧客は、それぞれの動機(価値観)をベースに意思決定をします。会社は、意思決定者にはなれませんが、顧客の意思決定の源泉にある、動機(価値観)を与えることだけはできます。
私たちが持つ戦略は、全て顧客の価値観を理解し、動機を与えるためのものです。
ビジネスを成功させるために、1.経営や人事は、社員の行動を導きます。2.社員の行動には、必ず動機があります(動機がなければ行動しない)。3.経営や人事は、動機を与えることしかできない。ビジネス成功の3原則と全く同じことです。経営や人事が、ビジネス成功のために唯一できることは、社員の行動を促す動機を与えることであり、その動機の中でも最も深く、持続的なのが「働きがい」であると、一柳氏は言います。
ビジネス成功のための社員行動を促す動機とは
行動を促す動機には「外発的な動機」「内発的な動機」の2つがありますが、特に重要なのは、内発的動機です。無条件に自動的にあふれ出てくる感情(やってみたい、知りたい、好き、など)なので、主体的かつ持続的(燃え尽きない)です。この動機を社員に与えられると、社員は、自ら高い目標にチャレンジし続け、ビジネスを成功に導きます。
社員に「内発的動機(感情)」を与えるための3つのヒント
社員に「内発的動機(感情)」を与えるためのヒントとして、3つ「情動感染」「キャズムを超える」「“個人として大切にされている“を高める」を共有します。
1つ目の「情動感染」は、強い感情ほどまわりに伝染するという原則です。最も強いポジティブな感情は「好き」ではないでしょうか。製品/サービスが好き、同僚が好き、会社が好き、「好き」という感情に理屈はありませんが、自らの必要な行動をとります。アッヴィでは、「アッヴィの好きなところ」について全社員で一堂に会して話しあうことで、圧倒的にポジティブな情動感染が起こり、ポジティブな雰囲気が醸成され、「成長したい、ビジネスに貢献したい、社会に貢献したい」に繋げられました。
2つ目の「キャズムを超える」は、マーケティングで利用されるイノベーター理論を活用し、働きがいムーブメントを社内に起こすためのヒントです。社内の「アーリーマジョリティ」を巻き込むために、組織内のインフルエンサーを活用する方法をご紹介いただきました。
3つ目は「“個人として大切にされている”を高めること」です。働きがいの根幹は、価値観です。あなたの価値観、私の価値観が個人として組織に大切にされていると感じると、働きがいが高まることを、アッヴィの社内サーベイ結果をもとにお話しいただきました。一つの方法として、「心理的安全性」を高めること、アセスメントツール「DiSC®」を活用した事例についても、お話いただきました。
社員の働きがいとビジネスの成功の繋がりについて、多彩な事例も交えつつ、体系的にご紹介いただいた当セッションの詳細は、下記の動画からご覧いただけます。本質的な社員エンゲージメント向上に取り組むためのヒントを得たい方は、ぜひご視聴ください。
動画申し込みURL:https://survey.hrdgroup.jp/zs/9MBqit
2023年01月26日