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対談 型にはまったリーダー育成手法からの脱却 〜普遍的なリーダーシップコンピテンシーの価値とは?〜

型にはまったリーダー育成手法からの脱却

型にはまったリーダー育成手法からの脱却 〜普遍的なリーダーシップコンピテンシーの価値とは?〜

株式会社クニエ 人材マネジメント担当 ディレクター
三沢 直之 氏
プロファイルズ株式会社 ディレクター 重要顧客担当
福島 竜治

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ビジネス環境の変化に伴い経営環境も変化していきます。変化する経営のかじ取りをする上で要となるリーダーの質と量の確保は大きなテーマです。「次世代リーダー育成」「サクセッションプランニング」「イノベーションリーダー」といったキーワードがどの企業においても重要と捉えられる中、いま企業は何を頼りに自社の戦略に合わせたリーダー育成をしていくべきなのでしょうか?今回はプロファイルズ社のパートナー企業であるコンサルティングファーム、株式会社クニエのディレクター 三沢直之さんとプロファイルズ社の福島竜治が、変革時代のリーダー育成の在り方について対談しました。

対談者のご紹介

株式会社クニエ
人材マネジメント担当 ディレクター
三沢 直之 氏

戦略系コンサルティングファームにて経営全般のコンサルティングに従事後、人材系ベンチャーにて事業企画室の室長、および現場のマネジメントに従事。銀行系シンクタンクにて人事全般のコンサルティングサービスを提供後、2018年より現職。社会保険労務士・キャリアコンサルタント。

プロファイルズ株式会社
ディレクター 重要顧客担当
福島 竜治

プロファイルズのアセスメント事業の日本市場での立ち上げ期において、70社を超える組織・人事領域のコンサルティング企業や研修事業者をパートナーとして開拓し、アセスメントのマーケット普及に携わってきた。ProfileXT®
、CheckPoint 360°™認定トレーニングの講師として認定資格者養成のほか、顧客企業の組織・人事課題解決のコンサルティングに従事。人材アセスメントを活かした、サクセッションプランニング、キャリア開発、DX組織作り、リーダーシップ開発など、多岐にわたるテーマにて数多くのプロジェクトに携わっている。

コロナ禍にニーズが高まったファンダメンタルなスキルとは?

【三沢】ここ数年の社会の変化は想像を大きく超えるものばかりですね。全世界でのパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症のまん延では、企業の事業活動も人の働き方も大きく影響を受けました。さらに今年に入ってからのウクライナ問題、資源や食糧危機、物価高騰や円安など、ネガティブに捉えると大きな壁に見えることが多々あります。こうした局面において、どう行動を変えていくかは経営において大きなテーマだと言えます。

弊社が属するNTTグループでは、健康経営を一層推進する取り組みとして、2022年7月より主要グループ会社を対象に、日本全国どこからでもリモートワークにより働くことを可能とする制度を打ち出しました。また、私の地元も含め、周囲を見渡すとコワーキングスペースがかなり増えました。これらは環境が変化したことに対し、変革や新ビジネス創出の機会と捉え行動した例ですね。

株式会社クニエ
人材マネジメント担当 ディレクター
三沢 直之 氏

【福島】マッキンゼーの調査によると、コロナ前後で求められる能力に変化があったようです。一例として、デジタルスキルがあり、これは想像に難くありませんが、社会的・感情的スキルといったものが、以前にも増して必要となってきています。リモート化、デジタル化が進むことで、希薄になりがちな人の内面をテーマとして扱っていくことへの重要性が高まっています。この中を分解すると、リーダーシップ・マネジメントスキル、適応性や継続学習能力、対人対応スキルといったものが挙げられています。リスキリングというと、新たなスキルの獲得ばかりが想像されますが、こういったファンダメンタルなものが、古くて新しい、今こそ獲得しなくてはならないスキルであることを見逃してはいけません。これからのリーダーはこの事実を理解し、自己変革をしていく必要があります。

プロファイルズ株式会社
ディレクター 重要顧客担当
福島 竜治

型にはまったリーダー育成手法の限界

【三沢】リーダーのお話でいうと、次世代の経営人材を確保するサクセッションプランの重要性がさらに高まっていると言えるでしょう。経営のかじ取りを行う人材を中長期に育て確保することは、変化の時代に継続的な事業を営む上で欠かせません。実際、こうした問い合わせは増えており、特に長年事業を継続されてきた安泰とも思える企業からの依頼が多くなっています。話を聞くと、これまで次世代幹部の育成等は行っており、今の経営陣もそうした取り組みから生まれてきたケースが多いと感じます。ただ、今の時代にあって、これまでの取り組みでは不足感があるのでしょう。既存事業で成果を上げた人材を抽出し、経営に資する実践的な研修や、プロジェクト型の新規事業開発や経営計画作りに参画させながら、知見を高めていく。こうした取り組みは既存事業における成功体験がベースとなり、プロジェクト等での取り組みもどこか予定調和的な内容で終わる印象があり、結局変化に強い人材を生み出すことにはなっていないようです。

【福島】私がご支援しているある企業では、修羅場体験とも言うべき、子会社や海外事業の立て直しの旗振り役を担わせることで、変革リーダーと言える経営人材を生み出しています。この辺りにヒントがあるように感じます。これまでの成功体験を適用できず、変化せざるを得ない状況の中、日々何とか行動を起こし、いつの間にか本人が変えられている。行動や、その背景である思考の変化を生み出すことが重要だと感じます。ただ、そうした修羅場と言える場をどの企業でも用意できる訳ではないという課題があります。

経営トップと若手リーダーが「リーダーシップコンピテンシー」を共通言語に対話

【三沢】その点で言うと、修羅場体験に放り込めないにしても、若いうちからリーダー候補となりうる人材には高い視座で日々の業務に向き合ってもらうことが重要ですよね。経営幹部候補の行動や思考を変化させる取り組みとして360度評価をうまく活用した企業があります。
ある製造業では、次世代を担う若手リーダー層に対して、経営トップから直接、次世代への期待を伝える機会を持てないことに課題を抱えていました。経営者が経験してきたさまざまなビジネス体験、そしてそこから獲得した真理や本質的なものの考え方といったものがあっても、それをこれからのリーダーたちにどうやって翻訳して、再現可能な行動として伝えていくのか?ということは極めて難しい問いです。

そこでCheckPoint 360°™を用いた研修に、対象の若手リーダー層に加えて、直属の上司ではなく役員層が研修に参加するという取り組みを行いました。研修では役員と若手リーダー層の対話の機会を作り、CheckPoint 360°™の普遍的コンピテンシーを構成する18のスキルセットを用いながら、自社において今、リーダーに求められている要素を対話の中から見出すセッションを行いました。
これによって受講生は、「普段話すことがない経営者の期待を具体的に知り、視座を高めることができた」「会社から自分は何を期待されていて、これから何をすればよいかが明確に理解できた」という声が多く寄せられました。CheckPoint 360°™は上司との対話を促しやすいレポート設計のため、研修後も継続的に役員との1on1の機会を設けることができています。

CheckPoint 360°™とは?(出典:プロファイルズ株式会社)

CheckPoint 360°™一般的にある360度評価とは異なり、実証に基づく普遍的コンピテンシーと70の行動が示され、適切につくられている安心感がありますね。また、会社としてどのコンピテンシーを重視するかを設定でき、本人の意識とのギャップをデータとして示すことができます。事業環境が変化する中、会社として重視する項目も変わる可能性があります。何を重視するかを経営トップが認識し、そこから経営陣、管理職へと変えるべき行動を示し、各自の自己認知を矯正していくことで、事業活動を変化させるスピードを上げていくことができると言えるでしょう。その点で、重視するコンピテンシーの見直しが都度行えることは、ツールを選定するうえで大切な要素と言えるでしょう。(CheckPoint 360°™についてはこちら

【福島】多くの経営者が周囲の取締役や管理職がどうして行動を起こさないのかと嘆いていると感じます。ただ、経営者や事業責任者自身が、リーダーたちに求めるリーダー像を明確に示しているのでしょうか?この変化の時代、トップの視点で求めるリーダー像を明確に示していく必要性があります。その機会を創り出す上で、トップの期待を普遍的コンピテンシーの中から重みづけをして明示していき、リーダーたちの具体的な行動レベルにまで落とし込んでいくことができるCheckPoint 360°™は、変化の時代をかじ取りするリーダーを輩出していくための最適なツールと言えます。

CheckPoint 360°™とコーチングの掛け合わせはリーダーのアンラーニングにつながる

【三沢】360度評価もただ受けて結果を見るだけでは弱いです。私自身も360度評価を受けた際、自分事として捉えるのには時間がかかりました。自分に対して否定的な意見があると「私はこんな人間ではない」と思ってしまう認知的不協和が起こります。この状態をそのまま放置すると否定的な意見を述べた人間のことを逆に責めるなど、ベクトルが自分から他人へと向かってしまいます。そうならないためには継続的に自分事化するための仕掛けが必要で、一番の施策としてコーチをつけることが極めて有効です。個々の課題は千差万別ですので、個々人の状況をきちんと捉え、フィードバックを行い、継続的に変化の有無を確認する伴走型のコーチをつけることで、変化が定着していくと考えます。

【福島】仰る通り、コーチをつけることで360度サーベイという、時には受け取りにくい情報を、自身の力に変えていくことができます。コーチを付けたある事例では、本人が自分の課題を受け止め、行動を変えることで、チームの成果を向上させました。あるリーダーは、CheckPoint 360°™のコンピテンシーにある、「創造的に考える」「権限を委譲する」が課題となっていることに向き合い、創造性を発揮することが苦手な自分が、仕事を一人で抱えてプレイヤーのように働いていたことにコーチからの問いかけで初めて気づき、受け入れることができました。そして、チームのメンバーからアイデアを引き出し、抱えていた仕事を手放して権限委譲で部下に任せるという行動に変えたとたんに、様々なアイデアがあがり組織が活性化していきました。結果として、その組織はこれまでにない売上成果を達成しました。リーダーの行動一つでもこれだけ変化が起こることがあると実感した成功事例です。

資料(出典:プロファイルズ株式会社)
(出典:プロファイルズ株式会社)

さらに言うと、自分のパーソナリティ特性を測定するアセスメント、弊社ではProfileXT®やDiSC®がありますが、CheckPoint 360°™との組み合わせ効果は絶大です。自分の特性の傾向や行動面の「癖」が理解できるので、360度で他者から見えているものとのつながりに気づくことが多く、感情面でも変化が起きていきます。自己防衛・防御から、自己受容・行動変容へと導かれていくわけです。

【三沢】冒頭にあった、「感情的スキル」という言葉を思い出しました。リーダーも人間ですから、感情面で納得し、腑に落ちなければ行動を変えていくことは難しいですよね。こういった客観的ツールがその助けとなり、リーダーが感情面での葛藤を乗り越えて一段も二段も成長していくプロセスを、どう企業が意図して設計できるかがますます重要になりますね。リーダーも今までの成功法則を捨てて、新しいリーダーに生まれ変わるために、過去の自分をアンラーニングして、新しい自分へのリスキリングをしていくことが大切であると思います。

経営のかじ取りはますます困難なものになっていると感じます。まずは変化に対する捉え方を変えていきましょう。昨今の円安や物価高などをネガティブに捉えて被害者意識になることを当たり前のようにする社会環境があります。ただこれはメディアだけの話にしておき、経営者はこの環境をいかにうまく取り込み、事業運営で変化を行うかを考えていただきたいです。実際大きなチャンスがあり、事業拡大の機会として動かれている会社も多く存在しています。事業活動を柔軟に方向転換できるよう、経営陣や管理職の行動変容を促し、各種施策を推し進め、是非この変化を活用していけることを願うばかりです。

対談 株式会社クニエ
人材マネジメント担当 ディレクター
三沢 直之 氏
プロファイルズ株式会社
ディレクター 重要顧客担当
福島 竜治

2024年03月30日

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